汗と涙の結晶

　１９７７年発売、リンジー・バッキンガムとスティービー・ニックスが加入したフリートウッド・マックのアルバムの中で最大のヒットアルバムであり、グラミー賞の最優秀アルバム賞を獲得し、ビルボードのヒットチャートで３１週トップに君臨、現在までに２０００万枚以上のセールスを記録した名盤。

　黄金期と呼ばれる５人のメンバーでレコーディングされた２作目のアルバムですが、前作『ファンタスティック・マック』が、いきなり全米ナンバー１を記録し、シングル『セイ・ユー・ラブ・ミー』、『リアノン』なども大ヒットしたので、このアルバムの製作には、かなりのプレッシャーがかかったそうです。しかも、ミック・フリートウッドの離婚、リンジー・バッキンガムとスティービー・ニックスの破局、ともにフリートウッド・マックのメンバーであるジョン・マクヴィーとクリスティン・マクヴィーも離婚するなど、フリートウッド・マックのメンバーのプライベートは最悪な状態だったようです。しかし、悲しみを糧にしてか、あるいは悲しみを忘れる為だったのか、この時期のメンバーの音楽に対する集中力、情熱はピークを迎えていたような凄みがあり、ポップなメロディラインで歌いやすい曲でありながらも、メンバーの感情が焼き付けられたような生命力に満ちた名曲ばかりが収録されています。リスナーの立場からすると、これだけ無駄の無い上質な楽曲で一枚のアルバムが構成されているのはありがたい限りですが、これほど完成度の高いアルバムを生み出すには、私たちが想像できないような汗と涙、そして血のにじむような努力が必要だったはずです。

　このアルバムには、『ドント・ストップ』『オウン・ウェイ』『ドリームス』『ソングバード』などの名曲が収録され、このアルバムに収録された曲の半分以上が、後々までライブで重要なレパートリーとなっています。『ソングバード』はエヴァ・キャシディがカバーを発表し、『ドリームス』はコアーズがカバーしているので、このアルバムを聴いたことの無い若いロックファンの方でも、これらの名曲は知っているかもしれません。ロックの名盤と言われるものの中でも、ハードロックやプログレッシブロックなど好みが分かれる名盤も多いですが、このアルバムは、ロックファンだけでなく、普段ロックをあまり聴かないポップスファンのリスナーにも自信を持ってすすめられる名盤です。

 

 

■　ソング･バード　■

　もはやロックスタンダードですね。フリートウッド・マックのコンサートでも、この曲がはじまると大合唱になります。さわやかな風に乗って空に舞い上がれるような不思議な開放感と癒しのある名曲です。

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貴重盤ＤＶＤオーディオ

　このアルバムも、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』などと共に、ロック史に残る名盤なので、ＤＶＤオーディオでも発売されていました。ＤＶＤオーディオでは、ＬＰで発売されたときにカットされたギターの多重録音の音が追加されているようで、アコースティックギターの音が厚くなっています。また、ＬＰで発売された時にカットされた『シルヴァー・スプリングス』が追加収録されています。現在発売されている音楽ソフトの中では、このＤＶＤオーディオが格別に高音質ですが、ＤＶＤオーディオの規格が廃止になり現在、新品で購入する事ができません。中古商品でも、ＤＶＤオーディオで発売されている他の名盤と同じように高額になってしまっていますが、音質にこだわるなら、絶対にＤＶＤオーディオがオススメです。

　

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