ポップでハードなアメリカン・ロックの大御所
1974年、ポール・スタンレー(G・Vo)、ジーン・シモンズ(B・Vo)、エース・フレーリー(G・Vo)、ピーター・クリス(Dr・Vo)のメンバーで、アルバム『地獄からの使者』でデビューしたアメリカのハードロック・バンド。メンバー4人が、それぞれ個性的なメイクで素顔を出さずに、過激なステージパフォーマンスと、ポップなメロディのハードロックが人気となり、70年代に、クイーンなどと共に最も人気のあるバンドでした。
デビューから2枚目のアルバムまでは、ヒット曲もなく人気がありませんでしたが、『ロックン・ロール・オールナイト』の大ヒットで注目され、ステージ上でギターを破壊したり、火を噴いたりという過激なパフォーマンスと、独特のメイクで世界的な人気バンドになります。メンバー全員がリードヴォーカルをとれて、それぞれのポップセンスが生かされた楽曲が次々にヒットして、トップバンドの地位を確立し、70年代のロックバンドの中でも、特別な存在になりました。特にライブでのパフォーマンスは、他のバンドにはマネのできない迫力があり、映画『デトロイト・ロック・シティ』で描かれているように、キッスのライブを観ることは、70年代のロックファンにとっては、特別な意味がありました。日本でも、NHKのヤングミュージック・ショーなどでキッスのライブが放送されたときは、日本のロックファンを狂喜させました。
80年代に入ってからは、ドラムのピーター・クリスが脱退し、メンバーチェンジなどもあり、人気も落ちてしまいますが、90年代にオリジナルメンバーで活動を開始し、ロックファンの期待にこたえてくれました。一時期は、メイクをせずに素顔で活動していましたが、現在は、昔のようにメイクをしてステージパフォーマンスをするようになり、70年代からのファンだけでなく、若い世代にも受け入れられています。個人のテクニックを前面に出してソロプレイが多いようなタイプのバンドでは、ありませんが、アメリカ人らしい、明るくポップなハードロックは、後の、ヴァン・ヘイレンなどにも通じる魅力がありました。
今思えば、子供だったから熱狂したのかもしれませんが、アニメの主人公のようなメイクで、ハードロックを演奏する姿には、本当に夢中になりました。70年代からのキッスのファンなら、一度はキッスのメイクをマネした事があるんじゃないでしょうか?私も、高校生の頃、バンドのメンバー全員でキッスのメイクをして写真を撮った事があります。さすがに外には出られませんでしたが・・・。