まさに戦慄の女王
フレディ・マーキュリー(Vo・Key)、ブライアン・メイ(G・Vo)、ジョン・ディーコン(B)、ロジャー・テイラー(Dr)の4人のメンバーで1973年にアルバム『戦慄の王女』でデビュー。ハードロック、プログレッシブロック的な音楽要素もありますが、ヒット曲を生み出すポップセンスの才能に恵まれたバンドで、フレディー・マキュリーを音楽的なリーダーとして活躍していましたが、1991年にフレディ・マーキュリーが死去してからは、オリジナルメンバーでの活動が不可能になり、元フリー、バッド・カンパニー、ザ・ファームなどで活躍していたヴォーカリスト、ポール・ロジャースとともに、クイーン&ポール・ロジャースとして活動しています。
レッド・ツェッペリンの『天国への階段』などと並んでロックスタンダードと言われる『ボヘミアン・ラプソディ』では、ロックにオペラの要素を加えるなど、実験的で革新的なサウンドメイキング、そして、抜群のポップセンスで世界中のロックファンから愛されたクイーンのサウンドは、レッド・ツェッペリンなどと同様に、オリジナルメンバーの4人が集まらないと再現できない独特の魅力があります。クイーンの最大の魅力は何といってもフレディ・マーキュリーの個性的な声だと思いますが、作曲面、アレンジ、プロデュースなども、ほとんどフレディが中心に行われていた為、彼の死後、バンド活動が行えなくなってしまったのも当然の事かもしれません。ビデオで発売されているクイーンのドキュメンタリー映像では、ギターやドラムなど、ほとんど全てのアレンジでフレディが指示を出し、他のメンバーが彼の指示通りにプレイしていました。普通は、各パートのアレンジはプレイヤーに任され、特にアイディアがある時だけ他のメンバーが注文をつけるのが一般的ですが、クイーンの場合、ほとんどの主導権をフレディが握り、他のメンバーは従順に従っています。この従順さがバンドの長期にわたる成功の秘訣かもしれません。バンド内で、他のパートのプレイヤーに演奏の指示を受けるのはトラブルの原因にもなり、メンバー脱退の原因になりやすいので、フレディのセンスやアイディアを全面的に受け入れたからこそ、解散せずに続けられたのかもしれません。逆に、リードヴォーカリスト、ソングライターでありアレンジャーでもあったフレディを失ったことは、クイーンというバンドにとっては致命的だったと思います。