ラストアルバムになりました。

　１９８１年発表のロッシントン･コリンズ・バンドのセカンドアルバム。デビューアルバムの『エニイタイム・エニイプレイス・エニイホウェア』の翌年に発売。バンドの成功と勢いによって短期間で仕上げられたアルバムかと思いましたが、このアルバムの製作中に、アレン･コリンズの私生活にトラブルが多くなり、バンドの存続が危ぶまれる状況の中でのレコーディングされた作品のようです。

　１９８０年にアレン･コリンズの妻が死去し、アレンは悲しみを紛らわす為にアルコールやドラッグに手を出して中毒症状が深刻になり、アレンの不参加によるレコーディングの延滞、コンサートの中止など、ロッシントン･コリンズ・バンドとしての活動に支障をきたすようになり、結局、このアルバムを最後にバンドは解散してしまいます。レコーディングにアレン･コリンズが現れない事が多かった為なのか、デイル･クランツによるア･カペラ曲、バリー･ハーウッドのソロなどがフューチャーされていて、散漫な印象もありますが、考えようによってはバリエーション豊かでソロ色の強いアルバムとして楽しめます。特に、バリー･ハーウッドがリードヴォーカルを担当する『アイム・フリー・トゥデイ』は、カントリーソングのニュースタンダードと呼べるほどの名曲で、カントリーソングが好きな方にはたまらなく魅力的な曲だと思いますし、ギターのリフを中心にした正統派のハードロックナンバーとして印象に残る『ファンシー･アイディア』も名曲です。ファーストアルバムに比べて勢いは感じられませんが、サザンロックの王道としてのロッシントン･コリンズ･バンドの魅力を満喫できるアルバムには違いありません。

　アレン･コリンズは最愛の妻を亡くしてドラッグとアルコールに溺れ、ロッシントン･コリンズ・バンドは解散。その後、アレンは、ゲイリー･ロッシントンとデイル･クランツを除くロッシントン･コリンズ･バンドの元メンバーたちとアレン･コリンズ・バンドを結成しますが、１９８６年に自動車事故を起こし、その時に同乗していたガールフレンドが死亡。アレン自身も大怪我をして、この事故の後は車椅子で生活する事になります。そして、慢性肺炎、麻痺の合併症から１９９０年に死亡。飛行機事故で親友だったバンドメンバーを失い、最愛の妻やガールフレンドにも先立たれてしまったアレン･コリンズの人生は、悲劇のギタリストと呼ぶにふさわしい壮絶な人生でした。アレン･コリンズ・バンドの音源は、現在入手不可の為、このアルバムがアレン･コリンズのプレイを聴く事ができる最後のアルバムになっています。サザンロックのファン、アレン･コリンズのファンには特別なアルバムでしょう。

 

■　アイム・フリー・トゥデイ　■

　気ままな一人旅をする男の心情を歌ったカントリーの秀作。怪我の功名とでも言いましょうか、アレン･コリンズが、まともにレコーディングに参加できなかった為に、バリー･ハーウッドのセンスが生かされた、こんな名曲が収録されています。一人旅の時に聴きたい名曲です。

 

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　オリジナル盤は廃盤で、中古で１万円前後と高額になっていますが、ファーストアルバムとこのアルバムをカップリングした２枚組みリマスター盤が発売になっています。リマスターにより音質もクリアになっているので、高額なオリジナル盤を探すよりお買い得です。