伝説のサザンロックが蘇る

　１９８０年発売、ロッシントン･コリンズ・バンドのデビューアルバム。伝説的なサザンロック・バンドであるレーナード・スキナードのメンバーを中心に、ジャニス･ジョプリンの再来と評価されたデイル･クランツをヴォーカルに加え、気合の入ったサザンロックを聴かせてくれる名盤です。

　ツアー中の飛行機事故によってヴォーカリストのロニー･ヴァン･ザント、ギタリストのスティーブ･ゲインズを失ったレーナード・スキナードは解散してしまいますが、生き残ったメンバーの４人、アレン･コリンズ（G）、ゲイリー･ロッシントン（G）、ビリー･パウエル（Key）、レオン･ウィルクソン（B）に女性ヴォーカリストのデイル･クランツ、ドラムにデレク･へス、ギター兼ヴォーカルのバリー･ハーウッドを加えたメンバーでロッシントン･コリンズ・バンドとして復活し、サザンロックのファンを狂喜させたアルバムです。レーナード･スキナードの魅力は、アメリカ南部のブルース、カントリーなどの音楽にアレン･コリンズ、ゲイリー･ロッシントンのギターリフを中心に構成されたハードロック色の強い曲が魅力でしたが、このロッシントン・コリンズ・バンドのデビューアルバムでも、これぞサザンロック！と満足できる名曲とギターを楽しめます。レーナード･スキナードと決定的に違う点は、女性ヴォーカルになった事と、デレク･へスという才能のあるドラマーが加入した事によってサウンド全体が洗練されたという事でしょう。ヴォーカルのデイル･クランツは、ジャニス･ジョプリンの再来と形容されるほどパワフルでブルージーなヴォーカルを聴かせてくれて実力も存在感も抜群、ドラマーのデレク･へスのテクニカルで表現力豊かなドラムは、曲に躍動感と洗練された雰囲気をもたらしているので、レーナード･スキナードよりも綿密で洗練されたサウンドに進化しています。また、ギタリストのバリー･ハーウッドは、アレン･コリンズ、ゲイリー･ロッシントンと共に作曲、プロデュースで貢献しています。レーナード･スキナードという伝説のバンドのメンバーが中心になっているので、当然と言えば当然ですが、デビューアルバムでこれほど完成度の高いアルバムを発表するというのは、凄いですね。ジャニス･ジョプリンのようなパワフルなヴォーカルで本格的なサザンロックを楽しめるだけでなく、ギタリスト、ドラマーなどのプレイヤビリティが高いので、自分で楽器を演奏する人にとっても刺激的なアルバムだと思います。

　デレク･へスのドラムが最高です。元レーナード･スキナードのメンバーでロッシントン･コリンズ・バンドに参加していないのはドラマーのアーティマス･パイルだけですが、他のメンバーはバンドとして進化するためにアーティマス･パイルを外す必要を感じていたようです。アーティマス･パイルのドラムは、良く言えばワイルドでダイナミックなドラミングと評価できますが、悪く言えば粗野でセンスの無いドラミングという感じがします。実際、このアルバムのデレク･へスのドラムのセンスを聴いてしまうと、アーティマス･パイルのドラムがダサく感じられますし、リスナーはもちろん、一緒に演奏しているロッシントン･コリンズ･バンドのメンバーは、デレク･へスのハイセンスなドラムで演奏できるのを楽しんでいるような雰囲気が感じられます。ドラマーの人には絶対オススメの名盤です。

 

■　サムタイム・ユー・キャン・プット・イット・オン　■

　サザンロックらしいスライドギター、デイル･クランツの本領を発揮するパワフルなヴォーカル、美しいピアノソロ、そして、デレク･へスの多彩なタムワークによる華麗なドラミングと、どれを取っても文句無し！アルバムのエンディングを飾るにふさわしい名曲です。

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廃盤ですが

オリジナルアルバムのＣＤは廃盤ですが、このアルバムとセカンドアルバムをカップリングしたリマスターアルバムが輸入盤で発売されていてアマゾンなどで購入が可能です。