不死鳥のごとく・・・
飛行機事故によってヴォーカリストのロニー・ヴァン・ザントとギタリストのスティーブ・ゲインズを同時に失ったレーナード・スキナードは解散。しかし、残されたメンバーに、新たに3人のメンバーを加え、まさに不死鳥のごとくよみがえったサザンロック魂。レーナード・スキナードの主要メンバーだったアレン・コリンズとゲーリー・ロッシントンの名前からバンド名が付けられました。メンバーはアレン・コリンズ(G)、ゲーリー・ロッシントン(G)に、やはりレーナード・スキナードのメンバーだったレオン・ウィルクソン(B)、ビリー・パウエル(Key)、新メンバーとしてヴォーカルにデイル・クランツ、ギタリストにバリー・ハーウッド、ドラムにデレク・へスを加えてデビューアルバム『エニイタイム・エニイプレイス・アニイホエア』を発表。ジャニス・ジョプリンの再来と評判の高かったデイル・クランツのヴォーカルと、レーナード・スキナードのサウンドを進化させたようなサウンドでサザンロックファンを中心に話題になり、セカンド・アルバム『ディス・イズ・ザ・ウェイ』を発表しますが、悪夢が再び・・・。不死鳥のごとく再起したはずのバンドは、主要メンバーであるアレン・コリンズの交通事故などもあり解散。レーナード・スキナード以上の音楽を創ろうという意欲が、ひしひしと伝わってくる良質なアルバムを2枚発売し、これからの活動に期待していただけに、短命に終わったの非常に残念です。
レーナード・スキナードのメンバーのほとんどが参加したロッシントン・コリンズ・バンドで一人だけ外されたのがドラマーのアーティマス・パイル。これは、他のメンバーがアーティマス・パイルのドラムに不満を持っていたからだと考えられます。イーグルスやドゥービー・ブラザースなどのアメリカンロックのバンドが、カントリーロックから、どんどん洗練された音楽スタイルに進化して大成功を収めていった事を、レーナード・スキナードのメンバーも、ライバル意識を持ちながら見ていたはずです。実際、レーナード・スキナードの最後のスタジオ録音アルバムとなった『ストリート・サバイバーズ』では、ドゥービー・ブラザースを意識したようなアレンジの曲が目立つようになっていました。亡くなったスティーブ・ゲインズは、そういう洗練されたプレイを期待されていたのかもしれません。しかし、粗野でワイルドすぎるアーティマス・パイルのドラムプレイには限界があり、レーナード・スキナードが解散しなくてもアーティマス・パイルはクビになっていたかも知れません。正直言ってロッシントン・コリンズ・バンドにアーティマス・パイルが参加していたら、私もレコードは買わなかったかもしれません。しかし、新たにドラマーとして参加したデレク・へスのドラミングの洗練された美しさ、ダイナミズムは、バンドに生命力と無限の想像力を与えてくれたようです。ドラムをプレイする人でなくても、ドラムのセンスの良さには気付くと思います。デレク・へスの躍動感あふれるドラムに乗せて、レーナード・スキナード以上にスリリングなプレイをしているメンバーのプレイは、本当に楽しそうに聴こえます。
このバンドの一般的な評価は、レーナード・スキナードと比較になりませんでした。最大の理由としては、サザンロックの本家であるアメリカ南部では、保守的な価値観が根強く残っていて、女性ヴォーカリストに対して冷淡だった事があると思います。レーナード・スキナードにしても、オールマン・ブラザーズにしても全員男性メンバーですし。それが当たり前だったわけです。しかも、レーナード・スキナードという絶対的なバンドの存在があって、とても受け入れられる環境ではなかったのかもしれません。ジャニス・ジョプリンの再来と評判になったパワフルなヴォーカルも南部の人にとっては、ただの女のヴォーカルだったのかもしれません。ウエスタンハットとヒゲの無いヴォーカルは受け入れてくれないんでしょうか?凄いバンドだと思うんですけど・・・・。