もはや楽園に住めない時が来たら・・・

　１９８５年発売、この年ジョン・クーガー・メレンキャンプが主導で行われるファーム・エイドのコンセプトの影響もあり、アメリカの農家の窮状をシリアスに歌った曲なども収録され、メッセンジャーとしての彼の姿勢が打ち出されたアルバムでもあります。『スケアクロウ』『スモール・タウン』『ロック・イン・ザ・U.S.A.』など５曲のシングルヒット曲を収録しています。

　悲しげなジョン・クーガー・メレンキャンプのモノトーンのアルバムが全てを物語っているような気がします。このアルバムが発売された年に第１回のファームエイドが開催されています。発起人となったのは、ジョン・クーガー・メレンキャンプでした。このアルバムではファームエイドに象徴されるようなアメリカの農家の苦しい現状や、庶民が暮らしにくくなって行くアメリカについて歌った曲が収録され、『アメリカン・フール』の頃のような明るいだけのアメリカンロックという軽さはありません。もちろん暗い曲ばかりではなく、『ロック・イン・ザ・U.S.A.』のような明るい曲もありますが、このアルバムは、いままでよりメッセージ性の強い曲が多くなり、単なるロックスターからメッセンジャーとして成長したジョン・クーガー・メレンキャンプの記念すべきアルバムと評価できると思います。そういう意味では、彼の代表作『アメリカン・フール』とは格の違う名盤でしょう。また、このアルバムからはシングルヒット曲が５曲も生まれ楽曲のレベルの高さも最高です。私個人としては、一番好きなアルバムです。

　アメリカの農民を搾取する人間が多くなっている事は、メル・ギブソン主演の映画『ザ・リバー』でも生々しく描かれていますが、このアルバムが発売された８０年代には、破産して農地や家を銀行に取り上げられてしまう農家が急増していたようです。今でも独占企業のモ●●●ト社という企業が作物の種、農薬の販売を独占し農民の搾取は以前より酷くなっているらしく、これからモ●●●ト社が日本に進出すれば日本の農家も同じように搾取されるんでしょうね。

　  　

 

■　スモール・タウン　■

　アダム・サンドラー主演の映画『ウォーターボーイ』でも使われ、シングルヒットした代表曲です。小さな町で生まれ、仲間や家族のいるその町で死ぬまでその町で暮らすだろうという内容の歌詞ですが、アメリカの田舎町の不況は深刻で、ブルース・スプリングスティーンの名曲『マイ・ホーム・タウン』で歌われているように職を求めて慣れ親しんだ町を後にする人も多くなっているようなので、悲しく聴こえてしまいます。今の時代では私たちも他人事ではありません。

俺は小さな町で生まれ、そこで暮らしている。

そして、きっとここで死ぬんだろうな、この小さな町で

 

アナログレコードは、まだ買えます。楽天で探しましょう！

リマスター盤がオススメ

　ジョン・クーガー・メレンキャンプのアルバムが全てリマスター盤で発売されました。国内盤ではヒットアルバムのみ発売のようですが、このアルバムのリマスター盤は国内盤でも輸入盤でも入手可能です。とにかく音質が良くなっているので音質にこだわる方は絶対にリマスター盤がオススメです。

●ジョン・クーガー・メレンキャンプのトップページへ

●アルバム『アメリカン・フール』のページへ

 

 

 

カスタム検索