サザンロックというよりは、テキサス・ロック!
アメリカ・テキサス州出身のロック・バンド。ビリー・ボギンズ(G・Vo)、ダスティ・ヒル(B)、フランク・ベアード(Ds)の3人で1970年にアルバムデビュー。ライブバンドとして精力的なツアーを続けたてファンを獲得し、サードアルバム『三人の男達』が全米チャート8位まで上昇しプラチナディスクを獲得。アメリカ南部を代表するバンドとしての地位を確立します。その後もコンスタントにヒットアルバムを発売、精力的にツアーをこなしますが、長期に渡るツアーのために疲労が蓄積し1977年から2年間休養します。2年間の休養期間中にビリーとダスティの二人は、後に彼らのトレードマークとなる長い髭をたくわえて復帰、80年代になるとスリーピースのシンプルなアメリカン・ロックからシンセサイザーやエレクトリックドラムを導入したサウンドに変化し、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー
PART3』の挿入歌を担当するなど大ヒットシングルに恵まれトップアーティストとして活躍するようになります。ブルースやカントリーの影響を強く受けたサザンロック・バンドとしてスタートしたため、いまだにサザンロックのファンから絶大な人気がありますが、サービス精神旺盛でポップセンス豊かなバンドなので幅広いファンに愛されています。
時代の流れと共に消えていくバンドも多い中で、ZZトップは80年代という産業ロックの時代も生き残った数少ないバンドのひとつです。80年代的なサウンドに対応してヒット曲を生み出したという商業的な成功もその要因だと思いますが、彼らは精力的なツアーで地道にファンを獲得して、その地位を手に入れたバンドなので、産業ロックに転向して生き残ったという意地悪な意見には抵抗を感じます。実際、彼らのライブで一番盛り上がるのは大ヒット曲が演奏される時ではなく、初期の代表曲『タッシュ』『ラ・グランジェ
』などが演奏された時です。エリック・クラプトンが主催した『クロスロード・コンサート』に出演した際も、一番観客が熱狂するのがZZトップのファンでした。サービス精神旺盛なパフォーマンスも大ウケで、観客のほとんどがZZトップを目当てに集まったんじゃないか?と思ってしまうほどの盛り上がりでした。長いツアーで培った演奏力とパフォーマンスによってアメリカ中から愛されるロックバンドになったZZトップは、古き良き時代のロックアーティストのお手本だと思います。
80年代に来日公演が実現し、私も行ってきました。友人の付き合いで無理矢理行かされたんですが、演奏力の高さだけでなく、フロントの二人、ビリーとダスティのパフォーマンスは本当に観ていて楽しく、あっという間に時間が過ぎ去りました。ライブツアーで鍛えた演奏力はもちろん、観客を楽しませるためのツボを押さえたコンサートは、エンターテイメント性も十分で本当に満足したのを覚えています。当時私はドラムをやっていたのでフランク・ベアードのドラムソロも参考になりました。恐ろしくスケールの大きなドラムを叩き、完璧な安定性のあるドラムは衝撃でした。フランクみたいに風格のあるドラミングが出来るようになれば最高だなと感じましたが、まあ、無理でしたね。ドゥービー・ブラザーズやオールマン・ブラザーズのツインドラムの迫力を一人でプレイしてしまうフランク・ベアードのプレイは、もっと評価されてもいいと思います。