１９７３年、大学教授の母と暮らす少年ウィリアムは、ロックファンの姉アニタにロックのレコードをもらってからロックミュージックにのめりこみ、学校新聞にロック記事を書き、ロックジャーナリストに憧れていた。ある日ウィリアムの書いた記事をがみとめられ、ローリングストーン誌からバンド取材の依頼を受けて、人気上昇中のバンド、スティルウォーターのツアーに同行取材をすることになる。取材の初日に、グルーピーのペニー・レインに出会い、不思議な魅力のある彼女に惹かれるが、彼女はスティルウォーターのギタリスト、ラッセルとつきあい始める・・・。

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　この作品は監督キャメロン・クロウの自伝的な作品で、実際にロックジャーナリストとして活躍していたキャメロン・クロウならではのバンド、グルーピー、ジャーナリストの描写が印象的です。出演は『サハラに舞う羽根』のケイト･ハドソン、『ビッグ･フィッシュ』『グッド･シェパード』のビリー･ダグラップ、『グース』のアンナ･パキンなど。１０代でロックジャーナリストになったキャメロン･クロウ監督の自伝的なドラマであり、１９７０年代に活躍した架空のロックバンドの取材をする少年ジャーナリストの恋愛、友情を描いた青春映画。。

　１９７０年代のロックバンドを取材するジャーナリストを主人公にしているので、１９７０年代に人気絶頂だったレッド・ツェッペリン、レーナード･スキナード、サイモン＆ガーファンクル、ザ･フーなどの名曲がたっぷり楽しめるというのが、ロックファンにとっては嬉しいところです。１９７０年代に青春時代を過ごした人にとっては、ロックミュージシャンがカリスマであり、ロックファンが、お気に入りのアーティストから人生を左右され程の影響を受けていたという事を思い出す事が出来ると思います。また、１９７０年代のロックを知らない若い世代にとっては、ロックの黄金期の貴重な名曲の数々を楽しめるという意味で貴重な作品になるでしょう。ロックファンにとってはお馴染みのロックスターのゴシップであるバンド内の内輪もめ、マネージャー交代劇、ステージでの感電、ツアーバスでの移動など、ロックファンにはお馴染みのエピソードも満載で、ロックを知らない方にもミュージシャンの内幕話として参考になると思います。実際にロックジャーナリストだったキャメロン･クロウ監督ならではのリアルなコンサートシーン、舞台裏の描写は本当に見事！そして、一番の見所は、主人公のウイリアムの恋愛。映画のタイトルにもなっているペニー･レインと名乗る少女に密かに恋をするウイリアムの恋の行方は？ロックファンには特にオススメの映画ですが、恋愛映画としても秀逸な作品なので、恋愛映画が好きな方にもオススメの名作です。

　ウィリアムが最初の取材でバックステージに入り、舞い上がって興奮しているシーンでは、ただひたすら好きなロックミュージックに夢中になっていた１０代の頃を思い出しました。アーティストのニューアルバムの発売を、人生のメインイベントとして待ちわび、何を犠牲にしてでも、好きなアーティストのコンサートへ行くというライフスタイル、シンプルで純粋なロックファンの気持ちが呼び覚まされました。貧乏な生活、人間関係の悩み、恋愛のトラブルなど、嫌なことを全て吹き飛ばしてくれるパワーをロックミュージックは持っていますし、自分勝手な行動でバンドのメンバーに迷惑をかけたラッセルが、ラジオから流れるエルトン・ジョンの『可愛いダンサー』をメンバーと歌い、メンバーとの結束を取り戻すシーンも、ロックの力を感じさせてくれます。中年になって日々の生活に疲れてしまい、ロックスピリッツを失ってしまったオジサン、オバサンには是非観ていただきたい作品です。

カモにされやすいタイプだな

　正直者は往々にして貧乏くじを引かされます。１５歳の若さでロックビジネスの中に入り込んだウィリアムは、裏切り、エゴのぶつかり合いなどショウビジネスの先洗礼を受け、正直者にありがちな挫折を味わう事になりますが、観終わった後に、悲壮感はなく、すがすがしい気分にさせてくれます。監督のキャメロン・クロウは『ザ・エージェント』『エリザベス・タウン』などの監督も務めていますが、監督の人柄でしょうか？希望に満ちた気分にさせてくれます。ロックを楽しみ、さらに青春時代に戻ったような感動を味わえる作品です。

本物の音楽は、音楽が人を選ぶんだ

　誰でも自分の好きな音楽や映画、文学作品などを選んで楽しむ事ができますが、実は、私たちが芸術作品を選んでいるのでは無く、作品が人を選んでいるのかもしれません。音楽やその他の芸術作品の価値を理解できる、感じられる人しか、本物の芸術作品に選ばれないのかも？若い頃に良さが分からなかった作品が、何年か後に分かるようになる事もあります。そんな時、若い時には分からなかったけど、人生経験を積んで、やっと理解できるようになったんだなと感じる事があります。

ビールの銘柄は？

　ウィリアムから真実を告げられ、ペニーレインがショックのあまり涙を流す表情が忘れられません。ペニーレインの為に厳しく忠告をするウィリアムの真剣なまなざし、真実を告げられ、ショックを受けながらも、ウィリアムの為に笑顔を見せようとするペニーレイン。とても感動的なシーンです。