ニューヨークに暮らす開業医のビルは、美しい妻アリスとなに不自由なく幸せな生活を送っていたが、ある日、アリスから他人とのセックス願望を告白されて強いショックを受ける。妻の願望への嫉妬がきっかけで性的欲求が混乱していたビルは、偶然再会した友人から、性的な儀式が開かれている秘密の会合の存在を知り、その会合に出かけるのだが・・・。

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１９９９年アメリカ作品。監督は『時じかけのオレンジ』『２００１年宇宙の旅』などの鬼才スタンリー・キューブリック。主演は『栄光の彼方』『マグノリア』『バニラ・スカイ』などで有名なトム・クルーズ、『ピースメーカー』『コールド・マウンテン』のニコール・キッドマンで、この作品が製作された当時は、トム・クルーズとニコール・キッドマンは実生活でも夫婦でした。ギネスブックに認定されるほど長期の撮影期間と、編集にも１年近くかかった大作で、スタンリー・キューブリックの最高傑作とも言われています。

　上流社会の人々の退廃的な性を描いた作品なので、性的に魅力的な主役が必要だったようで、当時、実生活でも夫婦だったトム・クルーズ、ニコール・キッドマン夫妻が主演に選ばれています。人間の潜在的な性の欲望を暴き出したようなテーマですが、精神分析の創始者であるフロイトも、深層心理の研究で、人間の性的欲求を重要なテーマとしていましたし、人間の本質的な性の問題を映像化した作品としては、画期的な作品といえるかもしれません。男性にとっては、モデル級の女性のヌードや、ニコール・キッドマンの美しいヌードシーンを観ることができるという意味でも価値があるでしょう。ただ、この作品を観て影響を受ける可能性を考えると、彼女や、奥さんのいる方は、パートナーには観せないようにした方がいいと思います。

聞いたら眠れんぞ

　この映画で描かれているような異常な集会は、ありあまる権力と財力を持つ人間によって行われているんでしょうけど、財力のある有名人、政治家、権力者などなど、一般の人々がよく知っている人が多く参加していることを示唆しているようです。日本でもありそうな話ですが、アメリカの場合、社会的な成功を収めた人たちが秘密結社の一員だった、というような事は広く知られていますし、映画の中だけの話ではないのかも知れません。深層心理での人間の性の欲求は、底なし沼のように深いのかもしれません。

儀式

　この作品のハイライトシーンになっている儀式の映像では、個性的で恐ろしい仮面の数々や、不気味な音楽、色彩豊かな映像美が見事な調和を見せて、芸術作品としても素晴らしい仕上がりになっています。一度観たら絶対に忘れられないシーンです。

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