１９３７年、第２次世界大戦中、ラジオ局に勤めるケイティは、大学時代の友人ハベルに再会する。大学時代、政治活動に熱中するケイティと、保守派のハベルは、生きる世界が違うと感じ、お互いに距離を置いていたが、再会した二人は、深く愛し合うようになり結婚する。ハベルは作家としての才能を開花させ、映画脚本家としてケイティと共にハリウッドへ移住し、幸せな生活をしていたが、５０年代になってハリウッド赤狩りがはじまり、ケイティは、政府の横暴な政策に反対運動を開始する・・・。

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　１９７３年アメリカ作品。監督は『愛と悲しみの果て』のシドニー･ポラック、出演は『明日に向って撃て！』『幸福の条件』のロバート･レッドフォード、『スター誕生』のバーブラ・ストライザンドなど。第２次世界大戦、赤狩りなど激動の時代を背景にした社会派ラブストーリー作品。

　恋愛映画の傑作ですが、主人公の二人が対照的なキャラクターで、かなり好みの分かれる作品です。主人公のケイティーは、世の為人の為に人生を捧げようとするタイプ、一方、ハベルは、自分のプライバシーを重視するタイプで、この人生観の違いが二人の恋愛に大きな影響を与えてしまいます。レイチェル・ワイズがアカデミー助演女優賞を受賞した２００５年度作品『ナイロビの蜂』と同じような男女の関係で描かれているので、『ナイロビの蜂』の主人公テッサが嫌いな方は、この作品でも感情移入は出来ないと思います。ノスタルジックな映像美と、いまやスタンダードとなった名曲に彩られた７０年代の名作であり、社会背景や政治思想も重要な要素になっていますが、主人公ケイティの切ない恋愛感情がメインの作品なので、同時代のアメリカン･ニューシネマの作品よりも、恋愛的な要素が強く、一般的には、アメリカン･ニューシネマの作品としては認識されていません。社会派作品ですが、恋愛映画として楽しんだほうがいいと思います。ウォーレン･ビーティーが監督、主演した名作『レッズ』では、主人公のジャック･リードが政治活動に身を捧げ、妻が静観するという立場で描かれていますが、『レッズ』でのジャック･リードのように、本来は、男がやるべき仕事を、男がエゴに走ってしまった為に、女性がしていると考えれば、ケイティに同情できると思いますし、ハベルに対するケイティの深い愛情は、深い感動を与えてくれます。恋愛映画の古典として、近年の恋愛映画には無い深い感動を味わえる作品ですが、好みが極端に分かれる作品なので、気の強い女性が嫌いな方、女性特有のヒステリックな面を許容できない方には、ケイティの態度にイライラする場面が多いかもしれませんし、逆に、ブルジョワ的な生活を捨てられず、ケイティの愛情に応えられないハベルのエゴに怒りをおぼえる方もいるかもしれません。

恐ろしいのは、平和のために立ち上がらない人々よ

　ケイティーが大学で演説、この言葉に政治に無関心だった学生たちも感動します。戦争反対、人権の主張、核廃絶などなど、ケイティーの主張に間違った考えは見当たりません。平和の為の政治的主張を無視したり、押さえつけようとしたりする事の方が間違っているような気がします。

若い頃のように、万事が用意で単純だったら・・・

　子供の頃から学生時代までは、社会人としての責任や義務などもなく、自分のことさえ考えていればいいような気楽な時間を過ごせますが、大人になり、仕事、人間関係、経済的な事情など様々な責任を負うことになり、利害関係も多くなります。誰かを愛して結婚するというシンプルな考えだけでは、結婚生活が維持できないと言うのは悲しい現実ですが、ケイティーのように過去に想いを残してしまう人は多いのではないでしょうか。

テーマ曲も大ヒット

　バーブラ･ストライザンドが歌うこの作品のテーマ曲も、１９７３年度アカデミー主題歌賞を受賞し、ビルボード誌１９７４年の年間ランキングでも第１位になり大ヒット。この映画を観た事の無い方でも曲だけは知っているという方も多いと思います。このテーマ曲の収録されたサウンドトラックアルバムも発売されています。

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