アメリカＣＢＳの人気報道番組のプロデューサーであるローウェル・バーグマンの元に、タバコ産業の不正に関する極秘資料が匿名で送られてきた。バーグマンは、タバコ産業で働いていたジェフリー・ワイガンドに資料の分析と証言を依頼するが、彼がマスコミと接触したことを知ったタバコ会社は、彼とその家族を脅迫し、彼の社会的地位が脅かされてしまう。ワイガンドは苦悩の末、ＣＢＳのインタヴューに応じ、タバコ産業の不正を暴く番組が製作されたが、巨大な企業であるタバコ産業の財力、権力による圧力で、番組の放送が中止になってしまう・・・。

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１９９９年アメリカ作品。監督は『マイアミ･バイス』のマイケル・マン、出演は『ゴッド･ファーザー』シリーズ、『セント･オブ･ウーマン・夢の香り』などのアル･パチーノと、『アメリカン･ギャングスター』『プロヴァンスの贈りもの』などのラッセル･クロウ。　アメリカ大手タバコ産業の不正を告発した元重役と、その取材をしたTVプロデューサーの実話を元にした問題作。

　タバコ産業の不正を暴露しようとするジャーナリストの話なので、娯楽性は低いですが、アル･パチーノ、ラッセル･クロウの迫力ある演技や、大企業、テレビ局、マスコミなどの内幕は興味深く、好奇心を満たしてくれる作品だと思います。何と言っても実話なので重みがあり、世の中の仕組みを思い知らされる内容です。ほとんどユーモアも無くシリアスな作品ですが、マイケル･マン監督の得意とする男の生き方を描いた作品で、最後まで緊張感が保たれ、最後まで画面に釘付けになってしまいます。身の危険をかえりみずタバコ産業の不正を告発したワイガンド、その告発を報道する為に奔走するバーグマンの姿には、男なら必ず感動すると思います。

失われた信頼は、もう２度と戻らない

　バーグマンは、命懸けで告発したワイガンドの番組をもみ消しされて強硬手段に出ますが、一度信頼を失ってしまうと、もう誰も信用してはくれないという事を知っています。一度裏切られると２度と信用されないというのは、私たちの社会でも同じです。裏切った事を赦すことは出来ても、裏切った相手を信用する事はなかなか出来ないと思います。信頼関係の重要性を認識させてくれる言葉ではないでしょうか？

 

金であらゆる訴訟に勝ち続けてきた

　この映画で取り上げられている訴訟までは、裁判でタバコ産業が敗訴したことは無かったそうです。大企業の財力によって全ての訴訟で勝ち続けてきたという事は、財力によって法律まで支配できるようなものですから恐ろしい限りです。しかも、利益の為に、中毒性のある物質、発がん性のある物質を使っていたんですから、まさに悪魔の仕業でしょう。この作品を観たらタバコをやめたくなるかもしれませんね。私は、長生きしたいとは思っていないので、喜んで吸い続けますが・・・。

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