イギリスのヨークシャー、『嵐が丘』と呼ばれる土地に住む農場主アーンショーには息子ヒンドリーと娘キャシーの二人の子供がいたが、ある日、アーンショーは、孤児のヒースクリフを引き取り自分の子供として育て始める。しかし、父アーンショーが死んでから、ヒンドリーは、ヒースクリフを奴隷のように扱いはじめる。ヒースクリフは、奴隷のような扱いに耐えながら娘キャシーに恋心を抱き、キャシーもヒースクリフを慕っていた。成長した二人は強い信頼と愛情で結ばれるようになるが、キャシーはヒースクリフに特別な愛情を持ちながらも、裕福なリントン家の息子エドガーとの結婚を承諾してしまう。最愛のキャシーを失ったヒースクリフは、一人旅立ち、数年後、事業に成功して財を成したヒースクリフは、キャシーの前に再び現れキャシー、エドガーへの復讐をはじめるのだが・・・。

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　１９９２年イギリス作品。監督はピーター・コズミンスキー、出演は、 『ショコラ』『こわれゆく世界の中で』などのジュリエット・ビノシュと、『メイド・イン・マンハッタン』『ナイロビの蜂』などのレイフ・ファインズ。エミリー・ブロンテ原作の古典を映画化した大河ドラマ。

　１９９２年イギリス・アメリカ合作。この作品で５度目の映像化、古典の中でも『レ・ミゼラブル』などと並んで有名な作品なのでご存知の方も多いと思いますが、何度観ても深い感慨に浸れる名作です。かなり古い時代が舞台になっているので映像的な派手さはありませんし、重いテーマなので敬遠している方も多いと思いますが、後に様々な作品に影響を与えた壮大なストーリー、イギリスらしい荒涼とした美しい風景、印象的な音楽など、この作品でないと味わえない独特の魅力があり、古典文学が好きな方なら絶対に見逃せない作品だと思います。愛情が強いあまり、復讐心も強くなり、多くの人間の運命を変えてしまうヒースクリフの悲しみ、ヒースクリフを愛しながらも、彼に理解されないキャシーの孤独感など、人間の激しい感情描写が強烈で、２世代にまで及ぶ物語は、人間の一生分の物語を凝縮したようなスケールの大きさがあります。ただし、原作を読んでいる方なら、独自のイメージがあると思うので、キャスティングに関しては、好みが分かれると思います。ジュリエット・ビノッシュ、レイフ・ファインズの二人の演技は、人間の魂まで表現したような熱演ですが、もっと冷たさを感じるほどの美男美女のキャスティングだったら、このドラマの悲壮感が強くなったかもしれません。

人目を楽しませはしないけれど、大切なもの・・・

　映画『コールド・マウンテン』で、主人公が『嵐が丘』を読んでいるシーンがありますが、その中でも紹介されているのがこのセリフ。『コールド・マウンテン』では、『目に見える幸せはなくても・・・』と訳されていますが、印象深いセリフです。他人から見れば何の喜びも、楽しみも無いように見えても、本人にとっては、生きていく上で最も重要な事ってあるんですよね。

 

導かれるヒースクリフ

　天使のような女性に手を差し伸べられ、光の中へ入って行くヒースクリフ。そこには、キャシーの姿があり、再会を果たします。現世では巡り合わせ、出会い方が悪くて結ばれなくても、別の世界では、きっと結ばれる・・・、そんな希望を与えてくれる名場面です。

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