2007年日本作品。監督は、『おくりびと』の滝田洋二郎、出演は、『ラブファイト』の林遣都、『君に届け』の蓮佛美沙子など。あさのあつこさん原作のベストセラー小説の映画化作品。天才的な才能を持つがゆえの孤独に悩む中学生の友情と家族の愛情を描いた青春映画。
1000万部を超えるベストセラー小説が原作なので、映画の他にテレビドラマ、コミックなども発売されていますが、実際に野球経験のある俳優をキャスティングしているので野球シーンのリアリティも完璧で、青春映画としてスポーツ映画として、また感動のドラマとしても楽しめる名作になっています。主人公の二人を演じる出演者を林遣都さん、山田健太さんの演技も自然な名演で新人とは思えない存在感があります。野球部の友情を中心に描かれた作品なので恋愛要素はほとんどありませんが、ヒロインとして出演している蓮佛美沙子の存在感も印象的です。その他にも天海祐希さん、菅原文太さんなどベテランの名演も効果的で子供向けの作品と限定されない深みのある作品に仕上がっています。スポーツ、特に野球が好きな方には最高に楽しめる作品だと思いますが、友情や家族愛、兄弟愛なども描かれている感動作なので、野球に興味のない方にもオススメできる名作です。
私も中学まで野球部だったので、懐かしいというか、とにかく野球が好きで毎日野球ばかりしている人の気持ちは良く分かります。この作品でも描かれていますが、才能がある人間は人に妬まれたり先輩からイジメを受けたりと人間関係で苦しむ事も少なくありません。純粋に野球が好きだから自分の才能を生かしたいと思っても、邪魔する人間が出てきたりするわけです。最近では親まで介入して来て、賄賂を監督に渡して自分の子供をレギュラーにして欲しいと頼む親もいるそうです。レギュラーになって甲子園に出場しプロとして活躍できれば、子供に野球で投資した分が回収できると考え人もいるそうです。そんな野球が好きという純粋な気持ち以外の利害関係の多い中で野球を続けるのも大変です。野球に限らずサッカーなどプロにすすめるスポーツならすべて同じでしょう。この作品で描かれている主人公達のようにプロになれるかどうかは別にして、キャッチボールをするだけでも楽しくてしかたがないという気持ちを忘れなければ、プロになれなくてもずっと野球を続けられると思います。テニス部の女の子と仲良くなったりするシーンも無理がないというか、まぁ良くある話ですね。私の学校でもピッチャーが一番モテました。
子供と思うて、見くびるからやられたんじゃよ
最近は、野球に限らずどんな分野でも幼少の頃から英才教育されている人が多く、子供でも大人がビビるほどのテクニックを持つスポーツ選手やミュージシャンが増えています。相手をなめてかかるとその時点で負けが決定してしまう事も多いですね。
性格に問題があります
主人公の巧はライバルになるような人間が居ないために傲慢になってしまいます。若い頃は特に自分の才能を慢心してしまう事が多いですが、人間的に成長して来ると自分の才能は自分だけのものではないという事が理解できるようになります。素晴らしいプレイをしても人間的に最低だと、観ている人を感動させるのは難しいでしょうね。
巧にとって野球は祈り
自分の為に好きな事をやるというのは当たり前の話で褒められたものではありませんが、本当は、友達や家族の為に・・・という話なら感動しますね。祈りも自分の為ではなく誰かの為の祈りだったら叶うような気がします。誰かの為にする事はすべて誰かの為の祈りのようなものかもしれません。