実業家のスティーブンは、事業の失敗で多額の負債を抱え、破産寸前の状態だったが、彼の妻エミリーは資産家の娘で莫大な財産を持っていた。スティーブンは、妻エミリーの遺産で事業を立て直そうと考え、エミリーの愛人で無名の画家であるデイヴィッドに５０万ドルの報酬で妻殺しを依頼する。実は、デイヴィッドには、結婚詐欺の前科があり、スティーブンの弱みを握られた彼は、エミリー殺しを承諾するのだが・・・。

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　１９９８年アメリカ作品。監督は『チェーン・リアクション』のアンドリュー・デイヴィス、出演は『ウォール街』のマイケル・ダグラス、『愛しのローズマリー』のグウィネス・パルトロウ、『インディアン・ランナー』のヴィゴ・モーテンセンなど。アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作『ダイヤルMを廻せ!』をリメイクしたサスペンス作品。

　ヒッチコック監督作品のリメイクですが、現代を舞台にしているので古めかしい作品ではありません。登場人物のキャラクターも出演者の個性や魅力を生かした人物像になっているので、カーク・ダグラスの貫禄、グウィネス・パルトロウの都会的でハイセンスなファッション、ヴィゴ・モーテンセンのワイルドでミステリアスな魅力が十分に生かされています。とにかく主演の３人の魅力が見所の作品ですが、サスペンス映画としての緊張感や、絵画的なセンスのある映像なども楽しめるます。線の細い弱々し女性の色気を抜群の表現力とファッションセンスで演じるグウィネス・パルトロウは、『大いなる遺産』でのキャラクターと同様にハマリ役で、男性ファンだけでなく女性にも羨望のまなざしで見られるような魅力的な女性を演じ、カーク・ダグラスも、妻を殺してでも、自分の野望を達成しようとするしたたかな実業家で好演しています。そして、ハンサムな顔立ちに冷酷な本性を持つ画家を演じているヴィゴ・モーテンセンも、暗い過去を持つ者だけが持つ鋭い目つきと、彼らしいセンスのいいファッションで、ミステリアスな画家を見事に演じています。しかも、実生活でも絵を描くというヴィゴ・モーテンセンの作品が、映画の中でも使われていて、彼の芸術的な才能を垣間見る事もできます。犯人は最初から分っているので誰が犯人なのか？という謎解きの楽しみはありませんが、緊張感のある展開が続き最後までスリルを味わえます。主演俳優の魅力やファッションを楽しむ、スリルを満喫するなどの楽しみ方で満足すれば、かなり楽しめると思いますが、ハッピーエンドの作品では無いので、観終わった後に感動の残る作品ではありません。後味の悪い作品が嫌いな方には向かないと思います。

嫉妬というのは惨めな感情だ

　誰かに片思いしていて嫉妬するならともかく、自分の妻の浮気相手に嫉妬するというのは、最低最悪に惨めな気持ちだと思います。いずれにしても、愛する人が自分ではなく、他の人を選んだ事に対して悪感情を抱くというのは、惨めなだけでなく恐ろしい事かもしれませんね。

金持ちの趣味は同じだ

　『名のあるものを、ありがたがる・・・』、お金持ちになると、その財力を生かして、歴史に残る名画などの美術品の収集が可能になりますが、高額で購入した美術品も、いずれは売却して利益を得ようという打算が働いて、芸術を楽しむというより、財テクの一つになってしまうのかもしれません。有名なもの、高額で売れるものをありがたがるというのは、後で売る事を考えているからかもしれません。

画才は本物だ

　この作品の中で画家のデイヴィッドのアトリエにある絵は、自らヴィゴ･モーテンセンが描いたものだそうです。実生活でも絵画を趣味としているヴィゴ･モーテンセンの才能を見る事ができるというだけでも、彼のファンにとっては貴重な作品かもしれません。んー、本当にいい絵が多くて感心してしまいます。

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