2002年アメリカ作品。監督は『アクロス・ザ・ユニバース』のジュリー・テイモア、出演は、『ドグマ』のサルマ・ハエック、『スパイダーマン2』のアルフレッド・モリーナ、『僕たちのアナ・バナナ』のエドワード・ノートン、『氷の接吻』のアシュレイ・ジャッド、『ポワゾン』のアントニオ・バンデラス、『インディアン・ランナー』のヴァレリア・ゴリノなど。実在の女性画家フリーダ・カーロの生涯を描いた伝記映画。
実在の天才画家フリーダ・カーロの人生を、どうしても映画化したいというサルマ・ハエックの熱意によって製作された伝記映画です。サルマ・ハエックは、この作品の主演だけでなく製作も担当、この熱意によって、エドワード・ノートン、アシュレイ・ジャッド、アントニオ・バンデラスなど超豪華なラインナップで、フリーダ・カーロの波乱万丈の人生を感動的に描いています。芸術家が主人公の作品なので、主人公の芸術性の高い作品を楽しむ事ができますが、独特の映像センスのあるジュリー・テイモア監督によって、伝記映画にしては映像的に娯楽性の高い作品になっていて、絵画や映像芸術に興味のある方には、かなり刺激的な作品だと思います。そして、主人公のディエゴとフリーダは、芸術家としてだけでなく、しっかりとした思想、信念を持ち、世の為、人の為に生きようとする一個人としても魅力的です。当時の富豪や革命家なども実名で登場するので、政治や歴史に関する興味も満たしてくれるという点でも価値があり、伝記映画としては、近年稀に見る傑作に仕上がっています。フリーダの精神的、肉体的な苦痛、波乱万丈の人生は衝撃的で、観ている側も大きな苦痛を感じると思いますが、ジュリー・テイモア監督の芸術的な映像のアイディアによって、暗くなりすぎない感動作になっているので、感動的なエンターテイメント作品として楽しめると思います。ただし、フリーダの描いた作品は衝撃的で、感受性の強い人は、かなりショックを受けるので、落ち込みたくない人、明るい映画で気分転換したい人には向きません。また、フリーダとディエゴは、左翼的な政治思想を持っているので、左翼系の思想が嫌いな方にも向かないと思います。
趣味の悪さを金で補っているだけだ
優れた芸術家はみんな左翼だ!なんて過激なセリフも出てきますが、左翼思想を持っている芸術家が、金持ちの為に絵を描くというのは屈辱なのかもしれません。悪趣味な金持ちの為の絵だったら最悪でしょうね。
金持ちが酒を飲む時、貧者は飢えている
ロックフェラーのビルに絵を描くためにアメリカにやってきたディエゴとフリーダですが、アメリカの豊かさが幻だと感じてしまいます。ごく一部の金持ちが贅沢する為に、多くの貧乏人が飢えているなら、アメリカという国は、自分さえ良ければいいと考えている金持ちによって支配されているのかもしれません。今の日本も同じかもしれませんけど・・・。