狂信的なキリスト教徒で厳格な母親に育てられた高校生のキャリーは、ルックスも良くなく地味な存在だった為、学校では常に笑い者にされていた。家庭でも学校でも抑圧された生活を強いられていたキャリーには、怒りの感情によって物を動かす超能力が身に付き、母親とのケンカでキャリーが興奮すると、家具が動き出したり電機が切れたりという現象が起きるようになっていた。学校ではイジメられてばかりのキャリーだったが、ハンサムなトミーという同級生にダンスパーティーに誘われて、人生で最高の瞬間を楽しんでいたのだが・・・。

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　１９７６年アメリカ作品。監督は『アンタッチャブル』『カリートの道』のブライアン･デ･パルマ、出演は、『ミッシング』『ザ･リバー』のシシー･スペイセク、『ビッグ･ウェンズデー』のウイリアム･カット、『パルプ･フィクション』のジョン･トラボルタ、『フィラデルフィア・エクスペリメント』のナンシー･アレンなど。怒りによって超能力を発揮する少女が、大惨事引き起こす姿を描いたサイキックホラー作品。

　これぞデ･パルマ作品！と納得のホラー映画です。最近では珍しくない超能力を持つ主人公を描いた作品ですが、極度に抑圧された生活環境の中で、物を動かす超能力を身につけた少女が、惨劇の主役になってしまうという物語は、この作品が製作された時代では革新的であり、お化けや霊による恐怖とは一味違った恐怖が味わえます。何と言っても主演のシシー･スペイセクの圧倒的な存在感が目立ちますが、サスペンス作品を得意とするブライアン･デ･パルマ監督のスローモーションを多用した演出によって、緊張感溢れる映像とスリルを楽しめる作品です。狂信的で厳格な母親からの圧力、学校でのイジメなど、現代にも通じるテーマを主題にしているので、テーマに古さは感じられませんし、悪霊や悪魔による恐怖ではなく、人間の怒りによって惨劇が起こるという物語には、ある意味で現実味すら感じられます。ウイリアム･カット、エイミー･アービング、ジョン･トラボルタ、ナンシー･アレンなどの若き日の姿を楽しめるという意味でも価値があると思います。さすがに、映像には古さを感じさせる部分が多く、最近のリアルな映像に比べると厳しい部分もありますが、ホラー映画ファンの期待を裏切らない名作だと思います。

　ホラー映画としては最高なんですけど、イジメのシーンがかなり可哀想なので、気が滅入ります。キャリーの怒りが爆発して大惨劇に発展しますが、あまりにも酷いイタズラなので、これじゃ怒っても仕方ないんじゃないかなという気がします。最近、イジメが問題になっていますが、イジメられる人の気持ちを考えるいい機会になる作品かもしれませんね。

お前は神に捧げるべきだった

　この作品のホラー映画としてのポイントは、主人公キャリーの超能力ですが、一番怖いのは、キャリーの母親の狂信者としてのサイコぶりかもしれません。神を信じる事には問題ないと思いますが、自分の悪行を悪魔のせいにしたり、独善的な信仰心で他の人を傷つけたりするのは最悪です。