ディープ・パープルからレッド・ツェッペリンへ

　元ディープ・パープルのヴォーカリスト、デヴィッド・カヴァーデールが、１９７７年にソロ活動としてはじめたバンドが発展し、元ディープ・パープルのジョン・ロード（Key）、イアン・ペイス（Dr）などが参加、ブルースを基盤にしたハードロックバンドとして、イギリス、日本などで熱狂的に受け入れられます。元ディープ・パープルのメンバーが３人在籍していたので、ディープ・パープルのようなサウンドを期待したファンも多かったようですが、ディープ・パープルに在籍したメンバーの中で、最もブルース色の強かったデヴィッド・カヴァーデールのリーダーバンドなので、ギターをメインにした曲は、ほとんどなく、ヴォーカル中心に、歌を聴かせるタイプのハードロックでした。これは、ディープ・パープル時代に、リッチー・ブラックモアとの対立が原因で、スーパーギタリストに対してのアレルギーがあったからかもしれません。初期に在籍していたミッキー・ムーディーや、バーニー・マースデンは、ともに実力派ですが、エゴが強いタイプではありませんでした。ですが、やはりハードロック、ヘヴィメタルバンドの看板は、スーパーギタリスト！カリスマ性のあるギタリストが在籍していなハードロック系のバンドは、インパクトに欠けるという弱点があります。アメリカでの人気がいまひとつだったのも、そんな所が原因かもしれません。

　ホワイトスネイクの転換期となったのが、『サーペンス・アルバス /白蛇の紋章』の発売でしたが、このアルバムは、早弾きで有名なギタリスト、ジョン・サイクスを起用し、レッド・ツェッペリンのような、ギターのリフを中心にしたサウンドに転換しています。ツアーのメンバーも、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ、ヴィヴィアン・キャンベルといった有名ギタリストを起用し、ギタリストの存在感が増した事により、このアルバムはアメリカでも大ヒット、全世界で１０００万枚を超えるセールスを記録しました。その後、スティーブ・ヴァイがギタリストとして加入するなど、ハードロック界の大御所となりましたが、『サーペンス・アルバス /白蛇の紋章』のインパクトがあまりにも大きかった為、このアルバムを超える作品を発表することはできませんでした。

　ホワイトスネイクの人気が下降して言った頃、意外なプロジェクトが、ハードロックファンを驚かせました。元レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジとデイヴィッド・カヴァーデールが、カヴァーデール・ペイジとしてアルバムを発表、ジミー・ペイジの強烈なリフと、デヴィッド・カヴァーデールのブルージーなヴォーカルが見事に融合した名盤でした。残念ながら、1枚のみで解散してしまいましたが、このプロジェクトを続けて行くつもりでいたデヴィッド・カヴァーデールは、かなり落胆したようです。近年では、ホワイトスネイクの活動を再開し、メンバーは大幅に変わったものの、『サーペンス・アルバス /白蛇の紋章』のようなサウンドでファンを喜ばせてくれています。さすがに、超えの衰えはありますが、元ディープ・パープルのメンバーの中では、最もファッションセンスが良く、スリムなスタイルを維持しているので、他の元ディープ・パープルのメンバーと比べて、若々しく見えます。

イアン･ギランじゃないとダメか？

　ディープ・パープルのファンの多くは、イアン・ギランこそがディープ・パープルのヴォーカルと考えているファンも多く、リッチー・ブラックモアも、『ヴォーカルはイアン・ギランじゃないとダメだ！』と発言していますが、カヴァーデール・ペイジの来日公演を観に行ったときは、驚きました。やっぱり凄いヴォーカリストだと思います。私の友人もイアン・ギラン派が多いのですが、全員デヴィッド・カヴァーデールのヴォーカルを絶賛していました。しかし、リッチー・ブラックモアがレインボーのメンバーを次々に変えているのと同じように、デヴィッド・カヴァーデールも、自分の都合で、すぐにメンバーを入れ替えたりしているので、リッチー・ブラックモアもデヴィッド・カヴァーデールも似たもの同志なのかもしれませんね。だから、仲が悪いんでしょうか？