リッチモンド生まれのロックシンガー、エレン・エイムが、地元のファンが熱狂的な歓迎を受けて凱旋コンサートを開いていた。しかし、エレンを気に入っていた暴走族ボンバーズのリーダー、レイヴェンたちがステージに乱入しエレンを誘拐してしまう。事件の夜、食堂でウェイトレスをしているリーヴァは弟のトム・コーディにリッチモンドへ帰ってくるようにと手紙を書き、トムは、生まれ故郷に久しぶりに帰郷する。リーヴァは、エレンを助け出すようにとトムに頼むが、トムは今さら関係ないとはねつけてしまう。トムは、エレンのかつての恋人で、この事件がキッカケで二人がよりを戻して欲しいとリーヴァは願っていた。結局、トムは酒場で出合った兵隊上がりのマッコイと共にエレンを救い出す為にボンバーズのアジトに向かうことになる・・・。

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　１９８４年アメリカ作品。監督は『４８時間』『クロスロード』などのウォルター・ヒル、出演は、『リトル・ロマンス』『トスカーナの休日』などのダイアン・レイン、『フィラデルフィア・エクスペリメント』などのマイケル・パレ、そして、『プラトーン』『最後の誘惑』などのウィレム・デフォーが悪役で出演しています。ロックスターのステージシーンなど、ロックを満載したバイオレンスアクション。

　この作品は、『ロックンロールの寓話』というテロップで映画がはじまります。その説明通り、実在の町、特定の時代を舞台にした現実味のある作品というよりは、おとぎ話のような雰囲気で作られています。暴走族のメンバーの悪人面には、リアリティがありますが、全体を通してセットで撮影された映像が多く、ハッキリと作り物と分るセットを使用しているので、まるで舞台を観ているような映像になっています。シンプルなストーリーですが、ウォルター・ヒル監督にしては珍しく主人公の恋愛がメインテーマになっていて、ダイアン・レインが演じるエレンがロックシンガーという設定なので、恋愛だけでなくセンスのいいロックとバイオレンスの楽しめる娯楽作品になっています。ステージでの演奏シーンは勿論、ロカビリーから、ポップス、ブルースまで映像の雰囲気を１００％伝えてくれる音楽が秀逸で、ロックは好きだけどミュージカルは嫌い！という方にも楽しめる作品だと思います。ロック通として有名なウォルター・ヒル 監督の作品なので、もしかしたら、ブルース・スプリングスティーンの名曲『ストリート・オブ・ファイアー』にヒントを得て作られたロックムービーなのかもしれません。ハンサムでクールなタフガイを演じるマイケル・パレ、セクシーなロックシンガーを演じるダイアン・レインの魅力が目立ちますが、映画『プラトーン』で一躍有名になったウィレム・デフォーの悪人役にも注目です。ただし、映像のリアリティを追求したタイプの映画では無いので、ウォルター・ヒル 監督の『ウォーリアーズ』『４８時間』のような不良の毒々しさ、生々しさを期待する人には向かないかもしれません。

彼女と俺は、進む道が違う

　男が夢を目指して生きている場合は、女性がそれを支えるという恋愛の形が可能ですが、女性の方が才能を生かして夢を実現させてしまうと、ちょっと状況的に難しいかもしれません。特に、この作品の主人公トムのように、きまぐれでわが道を行くタイプだと女性にとっては大変な事が多いでしょう。こういうタイプの男性は、女性にとっては魅力的かもしれませんが、現実的に考えれば、かなり厄介なタイプの男だと思います。

ダイアン・レインのヴォーカルではありませんが・・・

　この映画のサウンドトラックアルバムは、この作品で演奏されている曲がたっぷりと収録されていますが、実際のヴォーカルは、プロのヴォーカリストが録音しています。ダイアン・レインのヴォーカルを聴けないのは、ちょっと残念な気もしますが、どの曲もヒットシングルになりそうな印象的な曲ばかりで、いまだに人気のあるサントラです。

 

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