１９６５年、ベトナム戦争が泥沼化し、米軍兵士たちの間にベトナム戦争に対しての疑念が生まれ、士気が低下していた頃、彼らの士気を高めようという目的で、アメリカ本国から米軍放送の人気ＤＪ、エイドリアン・クロンナウアーがベトナム呼び寄せられた。クロンナウアは、サイゴンの街でトリンという少女に一目ぼれし、彼女にアプローチを開始、同僚の米兵たちは、彼の行動に振り回されてしまう。そして、ＤＪの仕事も型破りなスタイルで、米兵たちに熱烈に歓迎されるが、放送に対する寄規制が大きく、上司と対立してしまう。そんなある日、レストランの爆破事件が起きるのだが・・・。

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　１９８７年アメリカ作品。監督は『ナチュラル』『レイン・マン』などのバリー・レヴィンソン。主演は、『奇蹟の輝き』『パッチ・アダムズ』などに出演しているロビン・ウィリアムズ。実在の人気ＤＪ、クロンナウアーを主人公に、ベトナム戦争の真実と、彼とベトナム人の交流を描いた感動作。

　１９８０年代、オリヴァー・ストーン監督の『プラトーン』をはじめ、ベトナム戦争をテーマにした作品がブームになりましたが、前線で戦う兵士の視点からではなく、現地のＤＪの視点から見たベトナム戦争の情報操作の現実を知るという意味では異色の映画です。主演のロビン・ウィリアムズは、まさにハマリ役ですが、正直なところ、この作品でのジョークにはさっぱり笑えません。民族的な違いなのか、映画の中で米兵が爆笑しているジョークでも笑えないのは、ちょっと残念ですが、他のベトナム戦争を描いた作品とは異なり、ベトナム人の視点から見たベトナム戦争を知ることが出来るという新鮮さがあります。そして、何より感動的なのは、クロンナウアとベトナム人の交流と友情。一目ぼれした女性に近づく為に英会話の講師をするというのは、下心が感じられますが、人種的な偏見の無いクロンナウアの明るい性格に、英会話学校の生徒は、彼を大歓迎します。笑いに満ちた楽しい授業、ソフトボールを楽しむベトナム人の笑顔の美しさは感動的です。ＤＪのクロンナウアが主人公の映画ですが、ベトナム人の純粋な生き方に感動できる作品でもあります。はじめて観た時はまだ２０前後の若造だったので、この作品の魅力が分りませんでしたが、４０歳を超えてから観ると、『プラトーン』などの戦争映画よりも、泣ける名作だという事が分るようになりました。

殺しに来たのは、お前らだ

　南ベトナム軍の支援という名目でベトナムにやってきた米兵は、ベトナム人にとっては、外国からやってきた単なる人殺しと感じるのも無理はないでしょう。ベトナム戦争を描いた映画のほとんどが、アメリカ側の視点から描かれていますが、この作品では、一番の被害者であるベトナム人の主張も、しっかりと描かれている所も好感が持てます。

親切、ありがとう

　クロンナウアが帰国する前に、英会話学校の生徒とソフトボール大会を開きます。不慣れなスポーツにドタバタするベトナム人の笑顔、大喜びする姿にも感動しますが、クロンナウアとトランとの別れのシーンが、この作品のハイライト。涙で輝くトランの瞳の美しさには、誰でももらい泣きしてしまうと思います。

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