2009年アメリカ作品。監督は『デイ・アフター・トゥモーロー』『パトリオット』などのローランド・エメリッヒ、出演は『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザック、『ラブ・アクチュアリィ』のキウェテル・イジョフォーなど。マヤ暦の預言通り、天変地異によって人類滅亡の危機が迫る2012年の地球を描いたSF作品。
2012年12月に人類が滅亡するというマヤ暦の預言をベースにした作品で、大地震、津波のスケールの大きな特撮映像が話題になりました。太陽フレアの活動が活発になり、過去最大のフレアで、ニュートリノの数が過去最高値になりニュートリノが物理反応を起こして地軸が移動するポールシフトにより大地震、津波などで滅亡するというストーリーになっています。実際に、2012年に太陽の黒点活動がピークに達するという科学的なデータもあるようなので、かなりリアリティのある作品になっていますが、『デイ・アフター・トゥモーロー』のように、聖人のような善意のある人間が主人公ではなく、ヒューマニズムという面では感動的な要素が弱く、金持ちと政府機関の要人だけが生き延びるという展開には、イライラすると思います。特撮映像には、それなりの迫力があるので、もし巨大地震や津波が発生したらどうなるか?という好奇心を満たすには十分ですが、感動作として期待すると納得がいかないでしょう。
あまり評判が良くなかった作品ですが、個人的には意外に楽しめました。ひねくれた見方ですが、金持ちや権力のある人間だけが生き延びるというストーリー展開は、ある意味では現実味があります。早死にするのは善人だけ!という言葉もありますし、憎まれっ子世のはばかるの言葉どおり、悪い人間の方が長生きする事が多いような気がするので、悪人ばかりが助かって長生きし、罪を重ねて行くと考えれば腹も立ちません。究極的には、自分だけは助かろうとするような悪人には天罰が下るでしょうし、生き残る事が幸せだと考えなければ、なかなか面白いストーリーだと思います。
悔い改めよ、終末は近い
キリスト教徒も、仏教ともイスラム教徒も・・・。人類の存亡に関わるような大災害は、悪しき人間が増えすぎた為の天罰と考える人は少なくありません。宗教は違っても、自分を戒め、悔い改める時期が来ていると感じている人は多いのではないでしょうか。
仕事の事ばかり考え、家族を無視した
主人公のジャクソン・カーティスは、良き妻や子供に恵まれているにも関わらず、自分の仕事を優先して家族を失ってしまいます。家族に対する愛情、義務を優先できないような人間にこそ天罰が下るべきかもしれません。
私のように金持ちだったら君はどうしていたかね?
大富豪のロシア人は、財力を生かして家族を守ろうとしますが、もし、自分が金持ちだったら、お前だって同じ事をするんじゃないか?と問いかけます。家族や友人を守りたいと考えるのは誰でも同じでしょうが、だからと言って自分たちだけ助かろうとするのは、どうなんでしょうか?
人は命をかけて他人を助ける
自分を犠牲にしてでも他人を助けようとする気持ちは、最も美しい感情だと思います。現代社会では、自分さえ良ければいいという人間が増えすぎているからこそ、こんな根源的なテーマが感動的に感じられるのかもしれません。