1986年アメリカ作品。監督はフラッシュダンス』のエイドリアン・ライン、主演は『死にゆく者への祈り』『レスラー』などのミッキー・ローク、『8mile』『ウェインズ・ワールド2』のキム・ベイシンガー。都会で働くファッショナブルで魅力的な男女の官能的な恋愛を描いた恋愛映画。
80年代にセクシーで魅力的な俳優として女性に圧倒的な人気のあったミッキー・ロークが主演。共演のキム・ベイシンガーもグラマーでセクシーな美人女優ということで主演二人の魅力や大胆な性描写が注目されて話題になった問題作です。作品の質が良い悪いというより、エロチックなシーンや主演二人のルックスを目当てに観るだけしか価値がないように思われがちですが、エイドリアン・ライン監督の女性ならではの美意識というか芸術性の高い演出力がベッドシーンだけではなく作品全体に生かされていて、とにかく映像美が秀逸、BGMに使われている曲や、ストリートミュージシャンの演奏シーンなどもセンスが良く、80年代の作品にありがちなダサさを感じさせない極めて芸術性の高い作品だと思います。話題にならなかったんですが、ローリング・ストーンズのギタリストのロン・ウッドが、パーティーのシーンで一瞬だけ写っていたりします。もしかしたら監督の友達なのかもしれませんね。ロン・ウッドは気さくで人当たりが良く、誰とでも仲良くなれる人らしく、たまたま観たんですけど昔ガンズン・ローゼズの日本公演にも飛び入り参加してチラッと演奏してました。まぁ、へぇ、そうなの程度の話ですけど、映画評論家の方も誰も書かないので書いておきます。
この頃のミッキー・ロークはとにかく女性に人気がありました。ボクサーとしてライセンスを取得して日本で試合をしたり、ミッキー・ロークが出演しているだけで映画館には女性が群がっていたのを覚えています。この作品が公開された頃、職場の女性の同僚に、この作品について意見を聞いたら、『あぁ、あのつまんない映画』という意見で会話が続きませんでした。当時はミッキー・ロークのファンか派手なベッドシーンが目当てな人間だけが観るような作品というイメージがあり、この作品が好き!というとスケベ扱いされていた時代なので仕方がありません。でも本当に映像がキレイな作品なんですよ。映像は絵画的なカットが多く色彩も採光がうまくて、鮮烈な色彩美に衝撃を受けるほどです。使用されているBGMも80年代当時の音楽だけではなく新旧問わず場面に合わせた曲をうまく映像と組み合わせています。ジョー・コッカーの曲を使ったりするあたりは本当に通好みでロック、ブルースファンをもうならせるでしょう。恋愛映画としての感動はほとんどありませんが、上質なビデオクリップ集として楽しむなら最高の作品だと思います。ただし、今ではR指定になるような激しいベッドシーンが多いので、過激な性描写に抵抗のある人と、教育上子供にはオススメできません。
見慣れたものが知らないものに見える、その一瞬
エリザベスが、画家のファーンズワースを訪ねるシーンでは、芸術の本質の一面を垣間見ることができます。画家が描く対象となる瞬間、写真家が写す場面は、その一瞬だけが突然特別ではじめて観るような新鮮な気持ちになれるような瞬間なのかもしれません。私たちは芸術家の見出したその瞬間の美しさに共感し感動する事ができるんでしょうね。この作品の映像美の数々も、まさにこの言葉が当てはまると思います。フルーツ、魚、缶など普段目にしているもの全てが打つくし映し出されています。