シカゴ郊外の田舎町オーロラに住むロックオタクのウェインとガースは、ローカルテレビ番組の司会をしながら、３０過ぎでやっと一人暮らしをはじめて親に干渉されない生活を満喫していた。ウェインはデビューが近い有望なロックバンドのヴォーカリストのカサンドラと順調に交際を続けていたが、大物プロデューサーのボビーがカサンドラのバンドを担当する事になり、ボビーはカサンドラにプライベートでも興味を持ち、ウェインは焦りはじめる。そんな時、夢の中で２７歳の若さで他界した伝説のヴォーカリストであるジム・モリソンに、ロックコンサートを開催せよと指示されたウェインは、何のアテもないままコンサートの準備をはじめるのだが・・・。

 

 

 

　１９９３年、アメリカ作品。監督はスティーヴン・サジーク、出演は、『オースティン・パワーズ』のマイク・マイヤーズ、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、人気ロックバンドのエアロスミスも出演しています。アメリカの人気テレビ番組『サタデイ・ナイト・ライブ』でマイク・マイクマイヤーが演じていたウェインというキャラクターを元に映画化されたコメディ作品のシリーズ作目です。

　日本では１作目の『ウェインズ・ワールド』がコケてしまい、このシリーズ２作目は劇場公開無しでビデオでのみ発売になりました。一応フォローを入れると、日本でもテレビ番組でヒットしたドラマなどが映画化されるのはよくあるパターンで、こういう場合、テレビで視聴率が高いからヒットを見込めるというリサーチを元に製作されるので、この作品のように、アメリカでヒットしたキャラクターを知らない人が多い日本での公開は厳しいですね。まぁ、１作目の『ウェインズワールド』は、キャラクターに頼りすぎてストーリーや細部の創り込みに手抜きも感じられるので低評価でも仕方がないと思います。さて、この２作目では、相変わらず陳腐なストーリーですが、日本でも大ヒットした名作映画のパロディや、ロックファン向けのネタが大量に盛り込まれていて、映画、ロックに詳しい方には最高に楽しめる作品になっています。作品中に使用されているロックの名曲は、ジョーン・ジェットの『アイ・ラブ・ロックンロール』、バッドカンパニーの『キャント・ゲット・イナッフ』、ジミ・ヘンドリックスの『ヘイ・ジョー』、日本でも西城秀樹さんがカヴァーして大ヒットしたヴィレッジ・ピープルの『ＹＭＣＡ』などが効果的に使われています。また、映画のパロディでは、『卒業』『愛と青春の旅立ち』『テルマ＆ルイーズ』などの有名なシーンを再現しています。ロックの名曲の効果的な使用、名作映画の絶妙なパロディなど前作をは比べようがないほどの力作になっていますが、中でも特筆すべきなのは、悪役として登場するクリストファー・ウォーケンの圧倒的な存在感。この人が出演しているだけでもＢ級映画から脱することができてしまう所が凄い（まぁ、Ｂ級なんですけど）。１作目でガッカリしてしまった人も多いと思いますが、１作目よりは２倍以上楽しめる内容になっていますのでロックファンの方は、お見逃しのないように。ただし、ロックネタが多くなっているので、ロックファンじゃないと分からないネタも多いので、その点だけ注意してください。

　１作目は、思ったほどロックの名曲も使用されていなかったし独特のノリに付いていけなくて笑えない作品でガッカリしましたが、今回は割とマジメに創られています。しかも、チョイ役で出演しているゲストの豪華さにもビックリ。人気ロックバンドのエアロスミスのオリジナルメンバーが全員出演してライブシーンに出演、主要キャストとしてクリストファー・ウォーケン、チョイ役で、モデルのヘザー・ロックリア、『ベン・ハー』のチャールトン・ヘストン『ウェディング・シンガー』のドリュー・バリモア、『８ Mile』のキム・ベイシンガーなど豪華な出演者にも驚かされます。ロックや映画のパロディは勿論、豪華な出演者と政治ネタまで楽しめる作品になっているので、かなりオススメできる作品です。

目標到達の為には、まず人を助けること

　すっかり行き詰まったウェインに、夢の中でジム・モリソンがアドバイス。いいセリフだと思いますが、このセリフも、どこかで聞いたことのあるようなセリフですね。そうそう、日本映画の最高傑作『七人の侍』にも似たようなセリフが出てきます。

大事なのは手を尽くした過程だ

　人の評価を得るには結果が必要です。何かの試験に合格するとか昇進するとか、スポーツなら勝利という結果が求められます。努力しただけの結果が必ず出れば問題ないのですが、必ずしも努力に見合った結果が出るとは限りません。時には納得のいかない結果だったり、人為的な不正によって結果が操作されてりもします。でも、どれほどの努力をしたかは本人と神様だけが知っていて、この世で結果がでなくても、そういう努力を神様だけが知っていてくれれば、必ず何かしらの報いを与えてくれるような気がします。そう信じられれば、不公平な人の評価なんか気にしなくてすみますね。いやー、前作と違って、今回は、良いセリフも多い作品です。

 

フーバーは悪いやつで、ケネディとは正反対

　ウェインの夢の中でジム・モリソンとサミー・デイビスJrがケネディ暗殺の真相について話すシーンがあります。アホなパロディ映画だと思っていたらビックリしました。ケネディが暗殺された当時のＦＢＩ長官はエドガー・フーバーという非常に評判の悪い人で、この人はケネディ大統領と犬猿の仲で、ケネディ暗殺に協力していたではないかと疑われていた人物です。また、『軍需産業には手を出すな』というセリフも出て来ますが、ケネディの軍縮路線に反発した軍需産業を最大の収入源とするシンジケートが主導で暗殺を計画したという説を、さりげなく肯定しているようで興味深いです。ケネディ暗殺に関しては、落合信彦さんの『２０３９年の真実』などが面白いと思います。また、このホームページの映画評でも『ダラスの熱い日』『JFK』というケネディ暗殺をテーマにした映画のレビューもしています。興味のある方はどうぞ！

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