アメリカ、ロサンジェルス。天使のセスは、心臓病の患者を天国へ迎えるため病院を訪れるが、その病院の外科医マギーに恋をしてしまう。天使は、人間の前に姿を現すことを禁じられているが、セスは掟を破ってマギーの前に姿を現し、マギーとの恋の為に、人間になる事を決意するのだが・・・。

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　１９９８年アメリカ・ドイツ合作。監督は『ムーンライト・マイル』のブラッド・シルバーリング、出演は『ドアーズ』『プロミスト・ランド』の メグ・ライアン、『ナショナル・トレジャー』『天使のくれた時間』のニコラス・ケイジなど。ヴィム・ヴェンダース監督の名作『ベルリン・天使の詩』のリメイク作品。人間に恋をしてしまった天使が、天使としての命を捨て、人間界に舞い降りる恋愛ファンタジー作品。

　独特の映像美と情緒的な作品でカルト的な人気のあるヴィム・ヴェンダース監督作品のリメイクで、ロサンジェルスを舞台にしているので、ハリウッドらしい作品になっています。天使でも恋をしてしまうほど魅力的な女性にメグ・ライアン、人間じゃないかも？と思わせるような個性的なキャラクターのニコラス・ケイジを主演に起用し、キャラクターの個性と現代的な映像美で、娯楽性の高い作品になり、オリジナルの監督を務めたヴィム・ヴェンダースも絶賛していたようです。神様や天使は本当にいるんじゃないかな？と考えている方には、かなり楽しめる作品で、無神論者の方でもラブファンタジー作品として楽しめるでしょう。また、メグ･ライアンのファンなら、彼女の魅力をたっぷりと楽しめる作品としても価値があります。人間の女性に恋をした天使が、天使の立場を捨てて人間になるという物語を通して、天使の存在、彼らの役割などを描いているので、キリスト教徒の人や、神様や天使の存在を信じている方には、天使が人間にどんな影響を与えていているのか？という疑問に対しての一つの説を定義しているという点で興味深い作品だと思います。作品のテーマにピッタリな厳選されたＢＧＭ、神々しい雰囲気を伝えてくれる映像美、呆れてしまうほどセンスのいいメグ･ライアンのファッション、どれを取っても極上の芸術センスが感じられる作品としても評価できます。良くも悪くも人間離れしているニコラス･ケイジのキャラクターに関しては好みが分かれると思いますが、彼の濃い顔をガマンできれば、ほとんどの人が楽しめるラブファンタジー作品だと思います。恋愛映画として考えるとハッピーエンドでは無いので、エンディングに関しては賛否両論でしょう。スッキリとしたエンディングが好きな方、ハッピーエンドが好きな方には向かないかもしれません。個人的には、もっと透明感のある神聖な雰囲気で天使を描いてくれた方が良かったと思いますが、音楽も絵画的な映像美も最高の水準なのでＢＧＶとしても楽しめる秀作としてオススメしたい名作です。

　聖書やギリシア神話にも、人間の女性に恋をして天使が地上に降りてくる話がありますが、この作品では、永遠の命、一切苦痛の無い平和な生活を捨てて人間になろうとする天使の愛の強さが強調され、純愛を描いた恋愛映画として秀逸です。そして、天使たちは、私たちの毎日の生活の中で、最悪の事態になる一歩手前で助けてくれているのかもしれない！というイメージが、不思議な安心感と癒しを与えてくれます。多分、天使たちは、私たちが気付いていないだけで、人にインスピレーションを与えたり、人を介して癒しやメッセージを伝えているんでしょうね。私も人の善意に天使の存在を感じる時が度々あります。神様も天使も、きっといますよ。

会えるよ、いつか・・・

　愛する人との別れほどつらいものはありません。特に大切な誰かと死別する悲しさは、もう２度と会えないと思うと立ち直れないほどつらいものです。でも、天使に導かれて先に天国に行っているだけで、また会えると考えれば、何とか立ち直れるような気がします。

信じなくても真実なんだ

　ほとんどの人は自分に都合の悪い事は信じたがりません。特定の宗教を信仰していれば、他の宗教を信じませんし、科学を宗教のように妄信している人は、宗教を信じません。でも、否定しても、信じなくても真実は変わらないんですよね。

自由意志

　神様が人間にくれた最高の贈り物は自由意志。神を信じるか信じないか、誰かのために生きるか、自分だけのために生きるか、金を求めるか愛を求めるか、すべて人間の意志に任されています。自分が神に創られたと感じている人なら、神を愛し、神のために生きることを選ぶんでしょうね。

ジミを

　メグ･ライアンが演じるマギーがオペの前にスタッフに声をかけます。すると、手術室にセットされたシスコンからジミ･ヘンドリックスの名曲『レッド･ハウス』が流れてきます。クラッシックロックのファンなら、すぐに分かる名曲ですが、『ジミを』というセリフだけでは、ロックファン以外には意味が分からないでしょうね。どうしてこんな渋い曲を使っているのか分かりませんが、もしかしたらセンスのいいメグ･ライアンの好みで選曲したのかもしれませんね。エリック・クラプトンの『ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード』も使用されています。この作品のサウンドトラックも、なかなかの名盤です。

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