井上芽衣子は、大学の同級生だった種田成男と同棲しながらＯＬをしていたが、自分は社会人に向かないような気持ちになって会社に辞表を提出、無職になってしまう。フリーターの種田は、収入も少なく生活に不安を感じるが、大学時代から一緒にバンドをやっていた仲間とオリジナル曲を録音し、ミュージシャンとして生きていこうと決意する。しかし、興味をもってくれたレコード会社からのオファーは、バンドとしてのデビューではなく、アイドル歌手のバックバンドの依頼だった・・・。

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　２０１０年日本映画。監督は、『くちびるに歌を』の三木孝浩、出演は、『ＢＡＮＤＡＧＥ』の高良健吾、『舟を編む』の宮崎あおい、『ＢＥＣＫ』の桐谷健太、『ふくろう』の伊藤歩、日本のロックバンド・サンボマスターのベーシストの近藤洋一など。浅野いにお原作のマンガを実写映画化した青春ドラマ作品。

　人気コミックの実写映画は９０％ぐらいは失敗するので、期待しないほうがいいんですが、この作品は、出演者が本当に演奏していて、ライブシーンの迫力が凄いですし、原作のセリフをそのまま使用しているので、オリジナルコミックの持つ文学的な表現、哲学感が生かされた名作になりました。キャスティングも原作のイメージに近いキャラクターを揃えていて全く違和感を感じません。ヴォーカルとギターを担当している主演の高良健吾さんと宮崎あおいさんは相当練習して撮影の準備をしたと思いますが、素晴らしいギターとヴォーカルを聴かせてくれます。また、『ＢＥＣＫ』では、ラップヴォーカルを聴かせてくれた桐谷健太さんは、趣味でドラムをプレイしているそうで、その特技を生かして出演しています。そして、サンボマスターの近藤洋一さんは役者デビューだと思いますが、さすがプロのベーシスト！バンドのサウンドをリードして圧倒的なパフォーマンスを見せてくれています。とにかくクライマックスの演奏シーンが凄いですが、恋愛、友情を描いた青春映画としても名作ですし、生き方に迷いながら、妥協しながら生きていかなければならない人間の悲しい姿を描いた文学的な人間ドラマとしても秀逸です。一度観ればいいやというタイプの映画ではなく、何度も観たくなる名作です。

　本作のテーマ曲にもなっている『ソラニン』の歌詞も魅力的ですが、ゆるい幸せに疑問を持って満たされない想いに苦しむというのはどうなんでしょう。何を手に入れても満たされないというのも人間の習性なんでしょうか？共感できる人も多いと思いますが、怒る人も多いような気がします。小さくても、ゆるくても幸せを感じられるなら満足して感謝しないといけないような気がします。変化の乏しい生活というのも、それだけ平和だという事だし、まぁ、甘ったれているとも考えられます。彼女、あるいは彼氏もいなくて寂しい思いをしていたり、波乱万丈で安定した生活ができなくて苦しんでいる人も大勢居ますから。そんな人たちから見ると贅沢過ぎる悩みかもしれませんね。人間は何かを手に入れてしまうと、すぐにそれに慣れてしまい、持っているのが当たり前という感覚になってしまいがちです。大切な何かを失ってしまってから気づいても遅いですから、今、自分が手にしている幸せに感謝して大切にした方がいいんじゃないでしょうか。

何かが欠けると別のもので埋めたくなるのかな

　もし、生きがいを無くしてしまったら、他の生きがいを見つける必要があります。夢が実現できなくなったら別の目標を見つけるとか、転職することもあると思います。多分、一番つらいのは、愛する人を失った時ですね。こればかりは、簡単に埋め合わせはできないと思います。

例えそれが険しい道でも、キミがいるなら

　一人きりで試練に耐えるのはキツイですが、誰かパートナーがいれば、自分の為だけでなくパートナーの為に頑張ろうという気持ちになれますよね。結局、一番大切な人が一緒にいてくれるのが一番の幸せかも。

まぁいいや、そう自分に言い聞かせて、毎日を何とかやり過ごしている

　こういう感覚に共感できる人、多いんじゃないでしょうか。多忙な毎日で、怒る気力もなくなると、まぁ、いいやってつぶやいていたりします。私も、ほｔんど毎日、このセリフを口にしているような気がします。

原作はコミック、サウンドトラックもあります。

　かなり原作に忠実に作られた作品ですが、ちょっとカットされている部分もあります。この映画にハマッた方ならコミックも、サントラも絶対楽しめると思います。コミックでは、更に人生についての重い言葉も出てきます。

 　

 

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