1990年アメリカ作品。監督、主演は、『ファンダンゴ』『アンタッチャブル』のケヴィン・コスナー。南北戦争のさなか、インディアンの住む僻地に赴任して来た兵士とネイティブアメリカンのスー族とのふれあいを描いた感動作。
ケヴィン・コスナー主演、監督作品で、アカデミー賞作品賞を受賞した名作です。恐らくケヴィン・コスナーのキャリアの中で最高の作品でしょう。南北戦争の時代を背景に白人軍隊がインディアンの土地を侵略する姿を描いていますが、インディアン=野蛮な民族、白人=正義の軍隊という白人からの偏見によって描かれていない所に共感が持てますが、インディアンのスー族とジョン・ダンバーという白人兵士の友情が重点的に描かれていて、白人の侵略に対する批判を強く描いているわけではありません。スー族と敵対するインディアンは野蛮に描かれていますし、白人の軍隊にも酷い人間と善良な人間がいる事が描かれ、民族的な差別が感じられない点が秀逸です。また、主題となるスー族とジョン・ダンバーの交流は、広大な美しい開拓地を背景にじっくりと描かれ、スー族の個性的なキャラクターの登場人物がユニークで笑いと感動を最適なバランスで楽しませてくれます。友好的なインディアンに対して武力で制圧する白人軍隊には、どうしても怒りを感じてしまいますが、人種、民族の壁を越えて友情と理解を育む物語は、映画史に残る名作としてオススメできる内容です。
3時間の超大作ですが、ジョン・ダンバーとスー族のふれあい、用心深い狼とジョンのふれあいが、ユーモアを交えてゆっくりとじっくりと描かれていて不思議と長さを感じさせません。また、スー族と敵対するインディアンとの戦いでは、黒澤映画のようなエンターテイメントとしての面白さがあり、娯楽性も十分です。欲を言えば、ネイティブ・アメリカン独特の哲学感、人生観などを加えてくれれば観念的にも深みのある作品になったような気がしますが、アカデミー賞作品賞を受賞するにふさわしい名作である事は確かです。ちなみにこの年、アカデミー賞作品賞を争った作品には、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザーPARTV』がありました。
ずっと何を待っていたのだろう?
単身で砦を守るジョンは、スー族との関係に進展が無い事に苛立ち行動を起こそうとします。誰かのアクションを待つ、あるいはチャンス待たなければならない時もありますが、何もしないでただ待っているのは時間の無駄かもしれません。自分のすべき事を全力でしながらチャンスを待つ、あるいは誰かを待つという生き方がベストなんじゃないでしょうか。
成功より失敗で何とか進歩が得られていた
スー族と言葉が通じない事から失敗の多かったジョンですが、失敗から学ぶ事によって最善の進歩が得られる事が多いような気がします。失敗から教訓を得て進歩できるなら、失敗するのも悪くありませんね。
君が来るから、彼が去っていたのだ
蹴る鳥と比べて好戦的な態度だった風になびく髪ですが、彼は親友の死が理解できず苛立っていた事を告白します。運命論のようにも聴こえますが、悪いことが
何よりも大切な事は、本当の人間の道を歩む事だ
礼儀正しくユーモアを解し協調性のあるスー族の暮らしは、ある意味で人間の理想の生活なのかもしれません。自分よりも仲間や家族を大事にして生きるという生き方が、人間本来のあるべき姿、生き方なんでしょうね。『男はつらいよ・寅次郎恋歌』でも同じようなセリフが出てきます。
彼らは皆同じだ、すべてを奪ってく
スー族の村長は、過去の経験から白人が、暴力によってすべてを奪っていく事を知っています。植民地時代のアジアや南米への侵攻などもすべて同じだと思いますが、武力によって制圧されすべてを奪われてしまう原住民は耐えるしかないんでしょうか?