前作『リップタイド』からのシングル『恋におぼれて』の世界的な大ヒットによって名実共に世界トップのヴォーカリストとなったロバート・パーマーが、更なる音楽的な進化を模索した実験的なアイディアも盛り込まれています。大ヒットした前作の路線をそのまま続ければ、商業的には成功間違い無しだったと思いますが、このアルバムでは、力強いビートで押しまくるだけでなく、ファンク系のノリのいいビート、ジャズ風のスウィング、更にはアフリカ音楽をイントロに使ったり、レゲエビートにヨーデル風のヴォーカルを披露したりと、多用なビートアレンジで実験的なサウンドが楽しめるアルバムになっています。ちょっとやり過ぎかな?と感じる曲もありますが、前作の大ヒットによって商業的にも成功した事によって、より自由に創作意欲を形にしようという意気込みが感じられるアルバムになっています。
前作でドラマーとして参加していたトニー・トンプソンは、爆発的なパワーとゴリ押しのグルーブ感で曲に躍動感を与えていましたが、このアルバムでは、ドラマーがドニー・ウィンに戻り、様々なバリエーションで心地の良いビートアンサンブルを聴かせてくれます。トニー・トンプソンのドラムも凄いですが、やはり、ロバート・パーマーのヴォーカルには、ドニー・ウィンのドラムが一番合っているような気がします。