ヴォーカルはブルーアイド・ソウルの実力派ロバート・パーマー、ドラムが元シックのトニー・トンプソン、デュラン・デュランのメンバーだったジョン・テイラーがベース、アンディ・テイラーがギターという異色のプロジェクトバンド、パワー・ステーションのデビューアルバム。プロデューサーは、元シックのベーシスト兼プロデューサーのバーナード・エドワーズが担当していました。
バンドのサウンドの中心、トニー・トンプソンのパワーには、パワードラミングが売りのハードロックドラマー達も震え上がりました。トニーのパワフルでソリッドなどラムに、センスのいいフレーズをからめてジョン・テイラーがビートに色を付け、ロバート・パーマーのソウルフルで、しっとりしたヴォーカルを引き立てています。そして、このバンドで最も意外だったのは、アンディ・テイラーのギターテクニックでした。エリック・クラプトンや、ジェフ・ベック、エディ・ヴァン・ヘイレンほどの衝撃はありませんが、デュラン・デュランでは、ほとんどソロ・プレイのパートが無く、このアルバムでは、今までのうっぷんを晴らすかのように弾きまくっています。このアルバムを聴いたある有名ヴォーカリストに、『なんだ?お前ギター弾けるのか?』と言われたのは有名な話です。
『サム・ライク・イット・ホット』『ゲット・イット・オン 』などの大ヒット曲が生まれ、一般のリスナーのみならず、ミュージシャンからも評価の高いアルバムで、このアルバムの大ヒットによって、ロバート・パーマーは世界的に注目を浴びることになり、ソロアルバム『リップ・タイド』の大ヒットの足がかりとなります。また、ギタリスト、ソロアーティストとして評価されたアンディ・テイラーも、ソロ・アーティストとして活躍していくキッカケになっりました。このアルバム発売後にパワー・ステーションはコンサートツアーも行いますが、『リップタイド』のレコーディングの為に、ロバート・パーマーは参加せず、代わりにマイケル・デバレスをヴォーカリストに迎えてライブ活動を行っていました。アメリカの大ヒットTVドラマ『マイアミ・バイス』にも、このメンバーでゲスト出演しています。