史上最高のブルーアイド・ソウルのヴォーカリスト!
1974年『スニーキン・サリー・スルー・ジ・アリー』でソロアーティストしてデビュー。その後、数枚のソロアルバムを発表しますが、アルバム『シークレッツ』からのヒット曲『想い出のサマー・ナイト』など以外は目立つヒット曲もなく、実力派ヴォーカリストにも関わらず無名な存在でした。1985年、当時人気絶頂だったデュラン・デュランのメンバーと組んだパワー・ステーションへの参加で、一気に知名度が上がり、パワー・ステーションのアルバムの大ヒットの後、ロバート・パーマー最大のヒット曲となる『恋におぼれて』を含む『リップタイド』が大ヒットし、人気、実力ともに世界最高ブルーアイド・ソウルのヴォーカリストとしての地位を確立します。その後も『ヘヴィ・ノヴァ』『ドント・イクスプレイン』などの名盤を発表しますが、残念ながら、1984年に54歳という若さで他界してしまいました。
当時、誰もがパワーステーションの結成には驚かされました。ブルーアイド・ソウルの実力派ヴォーカリストと人気絶頂のアイドルバンドのメンバー、さらに、世界一洗練されたディスコバンド、シックのメンバー・・・。あまりにも音楽的な関連性の無い組み合わせで、え?何で???という疑問ばかりが先行したと思いますが、当時のインタビューによると、デュラン・デュランのベーシスト、ジョン・テイラーはロバート・パーマーの大ファンだったそうです。結果的には、パワー・ステーションの大成功が、実力の割にはメジャーになれなかったロバート・パーマーを一気にメジャーに押し上げてくれたわけですから、ロバート・パーマーのファンにとってもジョン・テイラーは恩人と言えるかもしれません。
病的なまでのリズムへのこだわり
ロバート・パーマーと言えば、デビューアルバムをニューオリンズで録音するなど、黒人のソウルミュージックに多大な影響を受けて、白人でありながらソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれる事が最大の魅力ですが、リズムアレンジへのこだわりは、恐らくヴォーカリストとしては世界一だと思います。プロドラマーのソロ・アルバムでも、これほどリズムに力を入れることは無いだろうと思うほどリズムのバリエーションが豊富で、彼のどのアルバムでも、ドラマーがショックを受けるような斬新なアイディアを聴くことができます。また優れたアーティストのほとんどが、そうであるように、新しいジャンルや流行を積極的に取り込み、ソウルは勿論、ディスコ、レゲエ、ハードロック、デスメタルまで、自己流にアレンジして曲に生かしています。大ヒットアルバム『リップタイド』には、パワーステーションで共演したトニー・トンプソンやバーナード・エドワーズが参加していますし、アルバム『ハニー』では、エクストリームのギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートと共演しています。残念ながら1984年に他界、もう彼のソウルフルな歌や、斬新なアイディアのオリジナル曲を新曲で聴くことはできないので、残してくれた名盤を、じっくりと聴くしかありません。
ロバート・パーマー・オフィシャルサイト