本物のピストルズが聴ける

　２００１年発売、セックス・ピストルズのデモテイク、別バージョンを集めた企画アルバムで、『アナーキー・イン・ザ・ＵＫ』『ゴッド・セイブ・ザ･クイーン』『ＥＭＩ』などの名曲をスタジオライブ風のレアな音源で楽しむことができるアルバムです。輸入盤のみで国内盤は発売されていませんが、初期のセックス・ピストルズの生々しい演奏を楽しめる貴重なアルバムで、セックス・ピストルズのファンにとっては最高のアルバムです。

　全１５曲収録していますが、『プリティ・ヴェイカント』と『アナーキー・イン・ザ・ＵＫ』は、２テイクづつ収録されているので実質的には１３曲です。セックス・ピストルズの衝撃のデビューアルバム『『勝手にしやがれ！』に収録されている曲がほとんどですが、アルバム発表前のデモテイク音源なので、かなり荒々しい演奏を聴くことができます。『勝手にしやがれ！』のアルバムは、スタジオミュージシャンによってレコーディングされたという疑惑のあるアルバムですが、このアルバムは本物のセックス・ピストルズのメンバーによる演奏が聴けるという意味で、特別な価値があるような気がします。『『勝手にしやがれ！』のレビューで、私もスタジオミュージシャンによってレコーディングされている可能性が高いと指摘しましたが、このアルバムを聴くと、その判断に、一層確信が持てるようになりました。『アナーキー・イン・ザ・ＵＫ』は２テイク収録されていますが、デモバージョンの方は、ドラムが重たく、モタモタしていて、別トラックのバージョンでは、アレンジこそ変わっていますが、『『勝手にしやがれ！』に収録されているようにタイトなドラムで聴くことができます。『『勝手にしやがれ！』がセックス・ピストルズのメンバーでレコーディングされたと信じているファンには怒られてしまいそうですが、このアルバムを聴くと、スタジオミュージシャンによってレコーディングされた可能性が高いことが、ハッキリと分るとおもいます。しかし、逆に、このアルバムでは、ヘタな演奏をしながらも反抗的なエネルギーを楽器で表現しようとするセックス・ピストルズのメンバーの情熱が伝わってくる生々しさがあり、セックス・ピストルズのファンにとっては、思いもよらぬプレゼントを受け取ったような喜びを味わえるアルバムだと思います。

　  　

 

■　アナーキー・イン・ザ・UK ■

　モトリー・クルーや、他の多くのバンドにカヴァーされた名曲。セックス・ピストルズの代名詞とも言える名曲です。彼らの人間性や主張を象徴したような歌詞、人を小ばかにしたような笑い声など、とにかく強烈な名曲で、このアルバムでは、２テイクも収録されています。

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ＣＤとＤＶＤオーディオで発売！

　２００１年にＣＤで発売されましたが、２００２年にはＤＶＤオーディオでも発売されました。ＣＤで聴くと海賊盤のような音質ですが、ＤＶＤオーディオという高音質ソフトによって、かなり音質が向上し、５．１ｃｈで収録されています。音質が向上しているとは言っても、元の音源の音質が良くないので、安っぽい楽器の音はそのままで、他に発売されているＤＶＤオーディオの名盤とは、明らかに音質は劣ります。ですが、まるで、むさくるしいセックス・ピストルズの練習スタジオに招待されて聴いているような、独特の臨場感が素晴らしく、元の音源の音質の悪さをカヴァーするという意味でも、できれば、ＤＶＤオーディオで楽しんだほうがいいと思います。輸入盤でのみの発売ですが、アマゾンなどでも入手可能です。

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