新しい方向性を示した秀作

　２００１年発売のデイヴ･マシューズ・バンドの５作目のスタジオレコーディングアルバム。スティーヴ･リリーホワイトに変わってプロデューサーとして参加したグレン･バラードのカラーが色濃く反映され、前作までのデイヴ･マシューズ･バンドのイメージを一新するような作品になっています。カルロス･サンタナがギターで参加した『マザー･ファザー』、タイトル曲の『エヴリデイ』などを収録。

　デイヴ･マシューズ･バンドと言えばアコースティックギターでアレンジされた味わい深い曲をイメージするファンが多いと思いますが、このアルバムでは、全面にエレクトリック･ギターがフィーチャーされ、フツーのロックバンドのようなアレンジの曲が多くなっています。『クラウデッド・ストリート』で一度頂点を極めた感がありますが、グレン･バラードという個性的なプロデューサーとの出会いによってデイヴ･マシューズの作曲に新たな境地が加わって、聴き易いポップナンバーを中心に構成されていて、エレクトリックギターによるリフを中心に組み立てられた楽曲は、一般のロックファンにとっては馴染みやすいと思います。ただし、デビューアルバムからのデイヴ･マシューズ・バンドのファンには、かなり違和感のあるアルバムなんじゃないかという気がします。初期の頃と同様にアコースティックギターでアレンジされた曲もありますが、エレクトリックギターのリフが中心の曲も多く、１曲目の『アイ・ディド・イット』は、ハードロック、４曲目『父の夢,僕の夢』、９曲目『フール・トゥ・シンク』はポリス風の曲で驚かされます。『クラウデッド・ストリート』のアルバムに収録されているようなスケールが大きく複雑な曲は無く、どの曲もシングルカット出来そうなシンプルでポップな４分前後の曲で構成されているので、気軽にポップナンバーを楽しみたいというロックファンには最適だと思いますが、『クラウデッド・ストリート』までのアルバムが好きなファンにとっては、ちょっと淡白すぎるかもしれません。個人的にはドライブの時に聴くには最高だと思っているので、かなり楽しめましたが、デイヴ･マシューズ･バンドの初期からのファンには評判が悪いようです。

　このアルバムのプロデューサーは、グレン･バラード。スティーブ･リリーホワイトを起用して成功していたデイヴ･マシューズ･バンドですが、この組み合わせでは、もうやり尽くしてしまった感じで新しいアイディアが出なかったらしく、プロデューサーの交代となったようです。ソングライターのデイヴ･マシューズとグレン･バラードが意気投合し作曲、アレンジを二人で行った為、他のメンバーはバックバンドのように指示された通りのアレンジで演奏しただけのようで、他のメンバーの個性を十分に生かしたアレンジとは言えませんが、それなりにまとまっています。また、ポリス風のナンバー『父の夢,僕の夢』『フール・トゥ・シンク』の２曲では、ドラマーのカーター･ビューフォードもすっかり、その気になって、スチュアート･コープランドを意識したドラミングを聴かせてくれて、なかなか楽しめます。３作目の『クラウデッド･ストリート』が究極の完成度のアルバムだったので評価が低いのは仕方がありませんが、気軽に聴けるポップアルバム、または、デイヴ･マシューズ･バンドの新境地と考えれば楽しめると思います。

 

 

 

 

■　エヴリデイ　■

　アルバムのエンディングを飾るタイトル曲が、一番デイヴ･マシューズ･バンドらしい作品に仕上がっています。アコースティックギターによるシンプルなアレンジの曲ですが、メロディもコーラスも秀逸で、シンプルなアレンジながらメンバーの個性が生かされていると思います。

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　日本では人気の無いデイヴ･マシューズ・バンドのＣＤは、どのアルバムも中古品だと激安ですが、このアルバムは、デイヴ･マシューズ･バンドのファンからも人気の無いアルバムなので、特に安くなっていてお買い得です。しかも、このアルバムは低音を強調した現代的な音質でレコーディングされていて音質が良く、オーディオファンのサウンドチェック用としても活躍してくれそうなので、２００円、３００円などの低価格で手に入るならサウンドチェック用に持っていてもいいでしょう。

 

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