４００万枚以上のセールスを記録したデビュー盤

　１９９４年発売のデイヴ･マシューズ・バンドのメジャーデビューアルバム。このデビューアルバムが４００万枚以上のセールスを記録し、アメリカ国内でデイブ･マシューズ･バンドは一躍トップバンドの仲間入りを果たします。新人バンドとは思えない円熟味のあるアンサンブルと丹念に作り上げられた上質なメロディの秀作が多く、彼らの代表曲である『アンツ・マーチング』『サテライト』などが収録されています。

　まずデビューアルバムとは思えない完成度の高さに驚かされますが、デイブ･マシューズをはじめカーター･ビューフォードやリロイ･ムーアはライブミュージシャンとしてのキャリアが十分で新人離れした演奏力があるのは当然かもしれません。『ティピカル・シチュエイション』『ダンシング･ナンシーズ』『アンツ･マーチング』などのアレンジは、感動的なほど絶妙なアレンジですが、スタジオジャム的な即興性の感じられるアレンジの曲もあり、次作『激突！』に比べるとラフな雰囲気で、全体的にはアコースティック色が強くなっています。アルバムの前半はメロディアスでポップな曲、後半はアコースティック系のしっとりとしたバラードを並べていて前半と後半でコントラストがはっきりしていて、グラミー賞を受賞する次作『激突！』と比べてアコースティック系の曲が多いので、フォークロック、アコースティックが好きな方には、本作の方が魅力的かもしれません。

　プロデューサーには、Ｕ２のアルバムのプロデュースで有名なスティーブ･リリーホワイトを起用し、アコースティックギターを基本にしたアレンジながらもフォークロックなどの古臭いイメージはほとんど無く、バンドメンバーの演奏力、才能を十分に生かしながらもデイブ･マシューズのソングライターとしての才能を前面に打ち出したサウンドにまとめています。Ｕ２のアルバムをプロデュースした時のように曲全体を包み込むようなエフェクトはほとんど無く、楽器の音のリアリティを忠実にレコーディングする手法を取っていますが、Ｕ２と違って、個々のプレイヤーの技術力が高いのでプロデューサーとしても楽だったんじゃないかな？という気がします。スティーブ･リリーホワイトは、この後もデイブ･マシューズ・バンドの２枚のアルバムをプロデュースしますが、バンドとの相性は抜群だと思います。

 

　このバンドは、ソングライター、ヴォーカリストとしてのデイヴ･マシューズの才能が最大の魅力ですが、カーター･ビューフォードのドラミングも衝撃的でした。両手両足どちらも利き手、利き足のように使えるテクニシャンなので、ビートを刻みながらパーカッシブなフィルインも自在に加えられるテクニックは、ちょっとマネできないプレイが多く、ドラマーにとっては参考になるプレイが多いと思います。この壮絶なテクニックは、すぐに話題になり、ＨＲ・ＨＭ系のギタリストとしてカリスマ的な人気のあるイングウェイ･マルムスティーンからアルバムに参加して欲しいというオファーが届き、ハードロックファンからも注目される事になります。

どこにいるかじゃなくて、誰と一緒にいるかが大切なんだ

　シニカルな風刺的な歌詞や哲学的な詩も魅力です。デビュー当時から学生に人気があり、カレッジロックなどという呼び方をされた時期もありましたが、知的なリスナーに人気があるというのデイヴ･マシューズ・バンドの特長です。

 

■　ティピカル･シチュエーション　■

　このアルバムの中で一番プロデュースが凝っているのが、この曲。決して古臭くは無いんですが、７０年代風の情緒的な雰囲気を感じさせるギターの響き、フルートの音色が印象に残る名曲です。１９７０年代の日本のアニメ『ルパン３世』のＢＧＭに使ってもハマるような気がします。

アナログレコードは、まだ買えます。楽天で探しましょう！

国内盤がオススメですが・・・

　国内盤も発売されていましたが、日本ではほとんど無名で人気が無いため廃盤のようです。輸入盤なら新品で入手可能ですが、デイヴ･マシューズの歌詞の魅力も楽しみたいという方は、中古で国内盤を探した方がいいでしょう。

 

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