アメリカ陸軍伝染病医学研究所の研究チームリーダー、サム・ダニエルズ大佐は、アフリカの小さな村で発生した未知のウイルスの調査の為に現地に向かう。モターバウイルスと名づけられたそのウイルスは致死率１００％という危険なウイルスで、サムは、アメリカ国内にも非常事態を宣言するように要請する。一方、モターバウイルスを保有した猿がアメリカ国内に密輸され、その猿からモターバウイルスに感染した患者が次々に死亡していく・・・。

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　１９９５年アメリカ作品。監督は『ネバーエンディング・ストーリー』『Uボート』などのウォルフガング・ペーターゼン、出演は、 『卒業』『真夜中のカウボーイ』などのダスティン・ホフマンと、『トーマス・クラウン・アフェアー』『リーサル・ウェポン４』などのレネ・ルッソ。アフリカで発見された未知のウイルスがアメリカ国内に広がってしまう恐怖を描いたパニック映画。

　極めて致死率が高い未知のウイルスが空気感染したらどうなるのか？。そんな人類の存亡に関わるテーマの作品ですが、人間ドラマとしても楽しめる作品です。アフリカで見つかった未知のウイルスが猿を媒介してアメリカで広がるという設定は、エイズウイルスの起源説をヒントにしているのかもしれませんが、殺人ウイルスが空気感染で蔓延するというストーリー展開は、未知のウイルスに対して無力な人間社会をリアルに描写していて、人類滅亡の一つのシナリオとして現実味があります。また、ウイルスを生物兵器として利用とする軍部の意図にもリアリティがあり、ウイルスだけが脅威ではなく、それを扱う人間の悪意が人類にとっての最大の脅威である事を教えてくれます。人類滅亡をテーマにした映画では、惑星の地球への衝突をテーマにした『アルマゲドン』、温暖化によって地球環境が激変してしまうテーマで描かれた『デイ・アフター・トゥモーロー』などに比べると地味な印象がありますが、人類が滅亡の道に至るテーマとしては、最も可能性が高いかもしれません。ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシーら名優の演技が緊急事態の緊張感をリアルに伝えてくれて、最後まで飽きずに観られる作品ですが、後半の展開が急ぎすぎで、ワクチンの精製が早すぎる、他の町へのウイルスの感染が無いなど不自然な部分が、ちょっと残念です。もうちょっと細部にわたってウイルスの感染確率や、被害の規模を描いてくれると、もっとリアリティが出たような気がします。

生物兵器としてのウイルス

　もし致死率の高い未知のウイルスを生物兵器としてしようしたら？。生物兵器、細菌兵器などの兵器の開発、その存在が既成事実となってから、こういう可能性については、否定できないのが怖いですね。生物兵器、細菌兵器の場合、人間だけを殺す事ができるので建造物などを破壊せずに、そのまま残せるので、ごり的に人を殺せる、なんて言っている軍人もいるようです。

 

彼は、あなたを愛してる

　この作品の主人公のサムは、すでに離婚した妻のロビーを今でも愛しています。ロビーは、そんなサムの気持ちを知りませんが、ウイルスに感染して病床に居る友人が、彼女に教えてくれます。死の直前まで、友人を気遣う心の美しさには、感動させられます。人生の最後の最後まで、友人の事を気遣える人間は、なかなかいないと思いますが、そんな友人に恵まれたら幸せでしょうね。

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