2003年アメリカ作品。監督は『シザー・ハンズ』のティム・バートン、出演は、『ブラックホーク・ダウン』のユアン・マクレガー、『あの頃、ペニーレインと』のビリー・クラダップ、『プロヴァンスの贈りもの』のアルバート・フィニー、『オール・ザット・ジャズ』のジェシカ・ラング、『ファイト・クラブ』のヘレナ・ボナム・カーターなど。人を楽しませるために、自分の人生をおとぎ話のように語る老人と、彼の家族の絆を描いたファンタジー作品。
独創的な映像美で高い評価を得ているティム・バートン監督の感動ファンタジーの傑作です。主人公が奇想天外のエピソードを語るという物語なので、ティム・バートン監督の得意分野である現実離れした映像美の魅力が最大限に生かされ、個性的な出演者の魅力もあって絵画的な美しい映像を楽しめる作品になっています。しかも、主人公の恋愛、家族愛などが、じっくりと描かれているので、泣ける感動作としても上質な作品です。ティム・バートン監督の映像センスが好きな方にとっては、たまらなく魅力的な作品だと思いますが、ファンタジー作品の映像美を楽しめるだけでなく、深い感動を味わえる作品なので、ティム・バートン監督が嫌いな方でも楽しめると思います。あくまでもファンタジー作品なので、映像のリアリティや、体感型のアクションを求める方には向きませんが、ティム・バートン監督の最高傑作と言えるほどの感動作なので、誰にでもオススメできる名作です。
独創的なアイディアによって、奇抜なデザイン小物や映像美を作品に取り込む作風は個性的ですが、ストーリーに深みが無く、芸術的な技ばかりが先行している感じがして、スティーブン・スピルバーグ監督と同様に哲学感に欠ける監督というイメージが強かったので、個人的には、ティム・バートン監督があまり好きではありませんでしたが、この作品は最高でした。嘘つきと決め付けてしまえば、悪人のようなイメージになってしまいますが、私利私欲の為のウソでは無く、他人を楽しませる為に脚色された話なら、誰かを傷つけない限り罪は無いような気がしてきます。また、死を受け入れ、どういう風に死にたいかというイメージを考えてみると、この作品の主人公のように死ねたら最高なんじゃないかと考えてしまいました。
困難が大きければ、それだけ報いも大きい
何かを成し遂げようとすれば、それだけ大きなリスクと努力が必要です。苦労をせずに何かを手に入れようとする人も多いようですが、より多くの困難に打ち勝ってこそ、大きな報いを受けられるのかもしれません。
オヤジは皆から好かれる
大げさな話ばかりで真実を話そうとしない父親のエドワードに対して、息子のウィルは不信感を抱いていますが、エドワードのホラ話は、みんなを楽しませようというサービス精神からであり、悪意はありません。結局、周囲の人間を楽しませようとする善意のあるエドワードは、みんなに好かれます。善意のある人は、いつの時代でも、どこの国でも、みんなに愛されるんでしょうね。
銀行のお陰で借金が・・・
おとぎ話のようなファンタジー作品ですが、こんな社会風刺も出てきます。銀行は、現代の社会では必要不可欠で、重要な存在ですが、重要な役割を担う反面、会社や個人に借金によるリスクを与えてしまうという要素も兼ね備えています。
出会った日から死ぬまで、僕には彼女だけ・・・
セールスの仕事で外出が多く、サービス精神旺盛で人に好かれるキャラクターだったエドワードには、浮気の誘惑も多かったはずですが、妻への愛情を一生涯貫き通します。この作品の主人公のように、生涯、一人だけを愛し続けられれば、一番幸せなのかもしれません。