孤児院で暮らすエヴァンは、両親が必ず迎えに来ると信じていたが、１１歳になった今も、両親は彼を訪ねてこなかった。ある日、エヴァンは孤児院を抜け出し、両親を探し始めるが、マンハッタンで出合った人々や、様々な音楽に触れるうちに、天才的な音楽の才能を開花させ注目を浴びることになる。エヴァンの母親ライラは、エヴァンは死んだと知らされていたが、息子が生きている事を知り、懸命に探し始める。そしてロックミュージシャンだった父親のルイスも、何かに導かれるように音楽活動を再開させていた・・・。

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　２００７年アメリカ作品。監督は『イン・アメリカ　三つの小さな願いごと』の脚本を担当していたカーステン・シェリダン、出演は、『ネバー・ランド』『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモア、『ベルベット・ゴールドマイン』のジョナサン・リース・マイヤーズ、『Ｍ：Ｉ：�V』のケリー・ラッセル、そして、『奇蹟の輝き』『グッドモーニング・ベトナム』などのロビン・ウィリアムズなど。音楽の力によって再会する家族を描いた感動のファンタジー作品。

　音楽ファンの為の映画です。ロックファンでも、クラッシックファンでも楽しめる音楽をテーマにした作品で、離れ離れになった親子の絆も描かれていますが、『音楽の魅力は、音だけで人を結びつける』というセリフからも、音楽のもつ不思議な力が人々を結びつけ、導いていく事をテーマにしている事が強く感じられます。映画のクライマックスシーンで演奏される７分の交響曲を先に作り、その曲を元に構想を膨らませて製作されたと言うだけあって映画の中で演奏されている曲は、どの曲も名曲で音楽だけでも楽しめますし、父親がロックバンドのヴォーカル、母親がクラッシックのチェロ奏者という設定で、ロックの曲に、クラッシックをシンクロさせるなど、ロック、クラッシックという二つの音楽ジャンルを、うまく融合させた楽曲は特に感動的です。自分の子供の存在を１１年間知らされなかった母親ライラの母性愛の強さ、愛する人を失い失意の為に音楽を捨ててしまった父親ルイスの苦悩、孤児院での暮らしで孤独感を募らせながらも音楽によって希望を膨らませていくエヴァンの健気な姿など、人間味のあるキャラクターも秀逸で、特にライラを演じるケリー・ラッセルは、キーラ・ナイトレイに母性本能をたっぷりと加えたようなキャラクターで、エヴァンに対する母性的な愛情を情感豊かに演じていて、母親の子供に対する愛情の強さを見事に演じています。音楽もストーリーも感動的な作品ですが、音楽の力によって導かれる親子の姿を描いた作品なので、『赤毛のアン』のような情愛の強さをテーマにしたタイプの作品ではありません。また、音楽が好きな方に向いている作品なので、あまり音楽に興味の無い方だと映画の魅力が半減してしまうかもしれません。

命あるもの同士、ハーモニーが大事だ

　『音楽とは何か？』という興味深いセリフも出てきますが、人間も音楽もハーモニーが大切なんですね。人間関係でも、怒りにまかせて行動してしまうと、不協和音を作ってしまいバランスを壊してしまう事がありますが、命あるもの同士、強調して生きていけば、人生にも素敵なハーモニーが生まれるのかもしれません。

音楽は捨てるな、何が起きても

　プロ、アマ問わず音楽を演奏する人は、楽器や歌によって感情を表現し、感情を吐き出す事ができます。音楽が生きがいの人にとっては、音楽を捨てる事は、自分自身を捨ててしまう事なのかもしれません。素晴らしい人との出会いや偉人の言葉など、人生を変えるような感動的な出会いは、生きる勇気、希望を与えてくれますが、音楽も同じように人生に希望を与えてくれます。もうダメだ、とあきらめかけていた時に、素晴らしい音楽との出会いによって生命力がよみがえる事があります。昔、音楽をやっていたけど、仕事が忙しくて辞めてしまったという方も多いと思いますが、新しい音楽にふれたり音楽活動を再会させると、驚くほどバイタリティがよみがえり、若々しくなれると思います。私の友人も、音楽活動を辞めてしまった人は疲れ切った顔をして老けていますが、音楽を続けている人は、実際の年齢より若く見えますし、輝いて見えます。これも音楽の力なんだと思います。

 

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