西暦１８０年、大ローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウスは、人間性も軍人としての才能も優れている将軍マキシマスを信頼し愛していた為、彼を次期皇帝にと考えていた。しかし、それを知ったアウレリウスの息子コモドゥスは皇帝を殺害し、その罪をマキシマスになすりつけ処刑しようとする。何とか生き延びたマキシマスが故郷に帰ると、妻と息子はすでに処刑されてしまっていた。瀕死の重傷を負っていたマキシマスは、奴隷商人プロキシモに買われて、殺し合いをする剣闘士(グラディエーター)として、ローマが誇る巨大コロシアムに出場するとになるのだが・・・。

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　２０００年アメリカ作品。監督は『エイリアン』『プロヴァンスの贈りもの』などのリドリー・スコット、主演は『インサイダー』『シンデレラ・マン』などのラセル・クロウ。ローマ帝国の全盛期に、政治的な陰謀によって、地位も家族も奪われた将軍が、復讐の為にローマ帝国の皇帝に戦いを挑む歴史スペクタル巨編。

　　この作品の公開当時、一言で言えばキリスト抜きの『ベン・ハー』だ！という映画評論家の説明が目立ちました。実際に、この作品の主人公の運命は、『ベン・ハー』のストーリーにそっくりです。『ベン・ハー』の物語の面白さは格別でしたが、何といってもキリストの奇蹟が感動的だったので、キリスト抜きの『ベン・ハー』なら、感動作としては期待できないと思っていました。しかし、人間の感情表現の描写が綿密で、スケールの大きい戦闘場面の迫力、浮世離れした風景の映像の美しさなど、完璧な作品に仕上がっています。キリストによる奇蹟を抜きにしても、これだけ人間ドラマとして深みのある作品なら、アカデミー賞作品賞を受賞するのも当然だと思います。戦闘シーンなどが生々しく描かれているので、血みどろの戦いもあり、人間の殺し合いを観て熱狂する大観衆の狂気には気が滅入りますが、それだけガマンすれば、間違いなく名作として楽しめる超大作でしょう。

家族こそ私の生きる力・・・

　将軍としても秀でた才能を発揮し、部下からの人望も厚いマキシマスですが、自分の使命を果たした後で望んでいたのは、家族と共に平凡に暮らすことでした。愛する妻と息子の為に生きてきたマキシマスにとって、家族を失うことは、すべてを失うこと。家族以外は、空しい塵と空気・・・とつぶやくマキシマスの姿に共感できる方も多いと思います。

大衆を操る者が、すべてを操る

　強大なローマ帝国の支配者として君臨する為には、大衆を味方にする必要があるとルッシラが語る場面がありますが、これは、どんな時代、どんな国でも同じかもしれません。歴史上最悪の指導者として悪名高いヒトラーも、大衆の心を掴むことが出来たからかそ、支配者として君臨できたのでしょう。しかし、一番怖いのは、大衆の望みが、間違った方向に向いていた場合です。娯楽の為に残虐な行為を望んだり、私利私欲の為に戦争を望んだりする大衆が多いのなら、政治家など指導者の責任ではなく、これは大衆の責任です。

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ラッセル・クロウ
ホアキン・フェニックス
コニー・ニールセン
リヴァー・リード

 

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