アメリカ大恐慌の時代、ボクサーのジェームズ・ブラドックは、試合中に右腕を骨折し、ぶざまな試合をした為にライセンスを剥奪され、ボクサーとして働く事ができなくなってしまった。ボクサーとしての収入が絶たれたブラドックは、日雇いの仕事で何とか妻と子供たちを養っていたが、電気料金の滞納でアパートの電気を停められ、政府の支給金に頼って生活するほど苦しい生活をしていた。しかし、ある日、以前マネージャーだった友人のジョー・グールドが、ケガによって出場できなくなったボクサーの代わりにブラッドックを起用し、ブラッドックは、1試合だけカムバックすることになる。世界ランク２位のボクサーとの試合は、最初から勝ち目の無い試合だったが、ブラッドックは、その試合で勝利し、ボクサーとして復活する事になる・・・。

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　２００５年アメリカ作品。監督は『バックドラフト』『アポロ１３』などのロン･ハワード、出演は『プロヴァンスの贈りもの』『インサイダー』などのラッセル･クロウと、『コールド･マウンテン』『ブリジット･ジョーンズの日記』のレニー・ゼルウィガー。大恐慌化のアメリカ、利き腕を骨折してライセンスを剥奪されたボクサーが、第２のチャンスを得て復活する感動の物語。大恐慌の時代、生活苦にあえぐ庶民の生活に希望の光をともした実在のボクサーの実話を元に映画化、深い感動と希望を与えてくれる名作です。

　これは感動します！。ボクシングの映画と言えば『ロッキー』などの名作もありますが、実話の映画化という事もあり、心も体も震えるほどの感動を味わえます。大恐慌の時代、失業者があふれ、満足に食べる物も無く、電気代が支払えず電気は停められ、寒さに震えながら生活する・・・。そんな厳しい時代に、チャンスを生かしてどん底から這い上がる主人公の姿は、当時苦しい生活を強いられていた多くの人々にとって希望の光であり、２００８年にはじまった大不況で苦しい生活を強いられている現代の人々にも希望を与えてくれると思います。私も１日多くて２食、電気を停められるのしょっちゅうで、死ぬほどビンボーしているので、とても他人事とは思えませんし、この作品には勇気をもらいました。さすがロン･ハワード！と思わせる演出で、ボクシングの試合のシーンでは、思わず身を乗り出して画面に近づいてしまうほど興奮し、体が震えるほど緊張しますし、ブラッドックの家族を思う気持ち、彼と友人たちとの絆には涙が止まらなくなります。不況の影響を受けて失業し、厳しい生活をしている方には是非観ていただきたい名作です。

右手を骨折したから、左手で働いて・・・

　ブラッドックは右利きですが、試合中に右手を骨折し、日雇いの肉体労働で右手をかばいながら仕事をすることによって左手が強くなります。かつて左のパンチが弱く、弱点であった左手が、ケガによって鍛えられ、不運だと思っていた事が逆に、ブラドックのパンチのバランスを良くしたわけです。最悪だと感じる試練が、時として精神や肉体を鍛えることになり、次へのステップになることがあります。あきらめずに耐えて進み続ければ、不幸も糧になる事を教えてくれます。

人生をこの手で変えられると、信じたいんだ

　大多数の国民が、不況で失業し食べ物にも困る毎日、誰もが絶望的な気持ちになっている時に、ブラドックは、チャンスを生かし、あきらめずに這い上がろうとします。多分、それは、自分だけの為ではなく、絶望的な状況に陥っている多くの人々に、努力すれば人生を変えられるという事を示したかったんだと思います。

大恐慌

　大恐慌下のアメリカを舞台にした映画では、『シービスケット』『天国の日々』なども有名ですが、つい最近まで、そんな時代もあったんだなぁ、という程度にしか感じていませんでした。しかし、２００８年にアメリカからはじまった不況は世界中に大きな影響を与え、派遣切りなどの影響で私も失業してしまいました。大恐慌の時代を背景にした映画を観る限りでは、今の時代の方がマシだと思いますが、これから先、どうなるのか予想がつきません。これらの作品で描かれているようなくらい時代が来ないように祈るしかありません。

 

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