2006年アメリカ作品。『ゴッド・ファーザーPartU』『ディア・ハンター』などの主演で有名なロバート・デ・ニーロが監督を務め、『グッド・ウィル・ハンティング』『ボーン・アイデンティティ』などの主演で有名なマット・デイモン、『ポワゾン』のアンジェリーナ・ジョリー、その他にも監督のロバート・デ・ニーロ
、アレック・ボールドウィン、ウイリアム・ハート、ビリー・クラダップ、ジョン・タトゥーロ、ジョー・ペシなど豪華な出演者が適材適所に配役され、作品にリアリティと緊張感を与えています。
CIAの実態をここまでリアルに描いた作品は、今まで無かったと思います。すべてが実話というわけではなく、映画用の脚色も多いとは思いますが、アメリカとソ連の冷戦時代のエピソードを素材にしているので、かなりリアリティが感じられます。娯楽性、ユーモアのある映画ではありませんが、政策に大きな影響を与える諜報戦の実態を知るには、いい映画だと思います。冷戦終結後、CIAの権力は衰退し、現在は『エネミー・オブ・アメリカ』で描かれているNSA(アメリカ国家安全保障局)が、かつてのCIAのような権力を握っているようですが、諜報活動を行う機関としては、似ている面も多く、テロ対策や、外交問題に大きな影響力を持っていることには変わりは無いと思います。
ボーンズが先、神が2番目
この作品の中でエドワードが属しているスカル・アンド・ボーンという秘密結社が出てきますが、この組織は実在の組織で、実際にこの組織のメンバーの多くが、アメリカの政界、財界で、中心的な存在になっているようです。かなり怖い話ですが、キリスト教徒でありながら、神よりも自分たちの組織を優先し、自分たちを神以上の存在だと盲信している人間たちが、アメリカの社会を支配し、国際政治にも絶対的な影響力を持っているというのが現実なのかもしれません。
誰も信じるな
諜報機関での仕事の鉄則のようですが、誰も信じられなかったら、嫌な人生になってしまうでしょうね。もっとも、国益に関わるほど重要な人間でなくても、誰も信じられないような世の中になっているので、処世術として考えた方がいいのかもしれません。私も、すぐに人を信用するクセがあり、色々と騙され、裏切られてきたので、学生の頃までに知り合った友人以外は、一切信用していません。なんか、寂しい世の中になっているような気がします。