とにかくドラムの音が大きい!世界一音の大きなドラマーであることは間違いないと思います。前座のバンドのドラムを借りてボンゾが数曲プレイしただけで、ドラムヘッドがベコベコになり、使えなくなってしまったというエピソードがあるくらいです。「狂熱のライブ」などの映像を観ると、手首を使ったしなやかなストロークというよりは、腕全体で叩いているようなフォームです。スティックを持つグリップも独特で、普通はスピードのあるプレイでは、人差し指と親指を起点にしてストロークしますが、ボンゾは、ほとんど小指と薬指のあたりを基点にして、プレイしています。ドラムスクールなどでは、絶対にこういうプレイは教えませんし、人差し指と親指を起点にするように教えられます。こういうプレイが、他のドラマーにはマネのできない大音量のプレイを可能にしているのかもしれません。
フットワークのパワーと繊細さも革新的でした。レッド・ツェッペリンのライブ映像や写真を観ると、バスドラムにパワーが出るようにイスを低めにセットしています。普通はイスを低くするとパワーは出ても、細かいプレイがしずらくなるものです、パワフルで繊細なプレイをしています。しかもノーミュートの26インチのバスドラを使用して鳴らしきっています。レッド・ツェッペリンのデビューアルバムの1曲目『グッドタイムズ・バッドタイムズ』の3連符のバスドラムのプレイは、ロックドラマーだけでなく、ジャズドラマーにもショックを与え、ドラマーのプレイに革命を起こしたといってもいいと思います。フィルインにバスドラムが多用される事によって、強いインパクトがもたらされ、コンビネーションの幅が広がりました。 グルーブに関しては、パワーが売りのドラマーのほとんどが、力を込めるためのタメができて後ノリになってしまいますが、ジョン・ボーナムは、どちらかというと前ノリです。パワフルでスケールの大きいノリで、しかもキレがあるのは、この為だと思います。
レッド・ツェッペリンの演奏で最大の魅力は即興演奏ですが、ボンゾの即興演奏の対応力にも驚かされます。ライブ映像でも、ジミー・ペイジが気まぐれで弾きだすフレーズに瞬時に対応し、まるで最初からアレンジされていた曲のように、しっかり演奏してしまいます。「モビー・ディック」のドラムソロでは、素手でドラムを叩いていますが、ドラムヘッドだけを素手で叩いても音が出ないので、リムも一緒に素手で叩いて音を出しています。マネをして同じような叩き方をした事があるのですが、次の日に、手が2倍の大きさに腫れ上がりスティックを握れなくなってしまった記憶があります。絶対にマネはしないほうがいいです。
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