ベトナム戦争の戦時下、ウィラード大尉は一度帰国したが、新たな任務を求めサイゴンに戻ってきた。彼に与えられた任務は、元米軍将校ウォルター・E・カーツを殺害せよ、というものだった。カーツは米軍の誇る優秀な軍人だったが、精神に異常をきたし、ジャングルの奥で地元住民を支配する教祖となってしまっていた。ウィラード大尉は、クリーン、ランス、シェフ、チーフの４人の部下と共にカーツを探してジャングルの奥へと進んで行くのだが・・・。

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　１９７９年アメリカ映画。監督は『ゴッドファーザー』シリーズのフランシス・フォード・コッポラ、出演は、『波止場』のマーロン・ブランド、『ガンジー』のマーティン・シーン、『フェノミナン』のロバート・デュバル、『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーンなど豪華なキャスト。ベトナム戦争下、狂気の帝国を築いた元軍人と、彼の暗殺の任務に就いた大尉の対決を壮大なスケールで描いた戦争映画。

　３０００万ドル以上の制作費、撮影、編集に３年以上費やした超大作ですが、公開された当初は、期待されたほどのヒットにならず、カンヌ映画祭でグランプリを受賞したものの、賛否両論の作品でした。りあるな戦闘シーンの迫力や、マーロン・ブランドが演じた狂気に満ちた帝国を支配する独裁者の存在感は衝撃でしたが、哲学的な要素があいまいで難解あったり、独裁者の存在に現実味が無かった為に、批判的な意見も多い作品でした。しかし、後に起こるサリン事件などによって、カルト教団や、その教祖の存在に現実味が出てくる事によって、後年になって再評価される事になります。個人的には、公開当初から好きな作品で、何度観ても、この作品の独特の世界に引き込まれてしまい画面に釘付けになってしまいます。ＣＧと使っていない映像のリアリズム、戦争という極限の状況下での人間の狂気、非合理な行動などは、かなり生々しさを感じますし、映画としての芸術性にも魅力を感じます。ただ、独裁者カーツの哲学感は、仏教的とも、キリスト教的とも言えず、かなり曖昧なので、哲学的な思想、メッセージ性などの魅力がある作品だとは思いません。そういう意味では、テレンス・マリック監督の『シン･レッド･ライン』などと比べると幼稚な作品だと思います。作品を観終わった後に強い啓示を受けたような感動を望む方には向いていないので、エンターテイメント作品として楽しんだほうがいいでしょう。

私は泣いた・・・

　カーツ大佐が、ベトナムの子供たちに予防接種をした時のエピソードを語りますが、この時のカーツ大佐の表情が一番印象に残ります。信じられないような残酷な話を、遠い過去を懐かしく眺めるような表情で語りますが、このエピソードだけでも狂気の淵にさまよいこんでしまう理由になるのではないでしょうか。

 

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