昭和初期、山形県のある村で原田草太は祖父と二人で暮らしていたが、二人の生活は極端に貧しく、草太は小学校に通う余裕がなかった。しかし、学校に通えずに友達の少ない草太にも、有馬早代という友達がいて、一緒に遊ぶ時間を楽しみにしていた。ある日、母親を亡くした子犬を見つけた草太は、その子犬にチビという名前をつけて飼いはじめる。チビは成長して、草太やおじいさんの仕事を手伝えるようになるのだが・・・。

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　２０１４年日本映画。監督は、『さよなら、クロ』の松岡錠司、出演は、森本慎太郎、『母べぇ』の壇れい、『悪魔の手毬唄』の岸恵子、『ゴールデンスランバー』の香川照之など。日本でもアニメ作品で有名な『フランダースの犬』の物語を日本を舞台にしてリメイクした実写映画作品。

　フランダースの犬は、日本のテレビアニメで放送されたシリーズがいまだに伝説的な人気を誇る作品ですが、本作は、舞台を日本の山形県、時代を昭和初期という設定にして実写映画化。ストーリーはオリジナルの物語を忠実に展開していくので、フランダースの犬を知っている方には、ほとんど目新しさは感じられないと思いますし、意外な展開もありません。良くも悪くもそのまま期待通りに物語が進みます。見所は、山形県の冬景色が美しい点と、名言が多いことです。雪深い山形県の風景は今でも昔と変わらぬ田園風景が広がりＣＧに頼らなくても昭和初期の雰囲気を味わうことができるので東北地方の生活観が良く伝わってきます。脚本を担当しているのは、『おくりびと』の脚本で有名な小山薫堂さんで、シンプルで心に残る名言が多く、美しい映像を楽しみながら名言が心に残る感動作です。どういう結末になるか分かっていても、やはりクライマックスシーンでは泣かされてしまいます。フランダースの犬を知っている方も、知らない方も、泣ける感動作として楽しめると思います。

　『まほろ駅前多田便利軒』という映画の中で、フランダースの犬のエンディングはハッピーエンドかどうか？という会話が出てきます。私はハッピーエンドだと思いますが、無心論者の方にとっては悲しい結末でしかないでしょう。フランダースの犬では、最後に主人公のネロと愛犬パトラッシュが天使に導かれてよみがえります。神様が存在して、この世で不幸な人生をおくった人間にも、その行いによって天国に導いてくれるとか、生き返らせてくれると考えれば、最終的には幸せになったと考えられると思います。本作では、その一番重要な報いを得る部分が、完全に抜け落ちてしまっているので、これでは悲しい結末としか言いようがありません。ハリウッド映画の伝説的な名作で『ベン・ハー』という作品がありますが、その作品のリメイク作品『グラディエーター』では、オリジナルの物語で一番重要だったイエス・キリストの登場シーンが全てカットされて、啓示的な部分を省略した娯楽作品にしてしまいましたが、本作も同じような類の作品と言えるかもしれません。そういう意味では、失敗作かなという気もします。

人を憎んだり、恨んだりしたらいかん

　シンプルな言葉ですが、人間にとって凄く大事な事ではないでしょうか。何かトラブルが起きると他人のせいにして憎んだり、恨んだりしてしまいますが、他人を憎んだり、恨んだりすると悪意で心の中が汚れて不健全になり、自分も苦しむ事になります。罪を憎んで人を憎まずを徹底したいですね。

心の中、全部読まれてる

　全知全能の神様がいるなら、私達の考えや行動は全て神様に知られています。何かを隠したいと思っても全部読まれているわけです。ちょっと怖いですが、何も後ろめたい事を考えたり、したりしなければ平気ですね。

どんなにちっちゃなウソでも、後ですぐ分かってしまう

　ウソをついてもバレないと思っている人が多いと思いますが、結局最後にはバレてしまうような気がします。ウソがバレた時に厳しい状況になってしまうなら、最初から正直に話した方が楽です。

冬はどうして寒いか知ってる

　なぜ舞台を東北の寒村にしたのか？このセリフの為なんですね。この質問の答えは、本作を観て楽しんでください。本当に素晴らしいセリフです。私も山形県に住んでいた時に、妻に同じような事を言った記憶があります。冬の寒さも悪いことばかりではありません。神様はそういう事も考えているようです。

人に厳しい寒さ

　私は、昔、山形県に１０年住んでいて、この作品のロケで使われた小学校の近くにも、よく配達の仕事で行きましたし、山形県の寒さは良く知っています。東北、北海道で暮らした経験がある方なら理解できると思いますが、北国の冬は本当に厳しく、時に命の危険すら感じる事があります。私も東北に２０年住んでいましたが、北国では暖房費を削る事がタブーで、冬場は絶対に暖房費をケチらず、暖房で室内温度を２０度から３０度にしている家庭がほとんどです。私の友人には北海道出身者が多いんですが、やはり、室内気温を２５度前後にして部屋の中で薄着をする習慣が当たり前のようです。

 

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