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ホテル・カリフォルニア
 
HOTEL CALIFORNIA

1. ホテル・カリフォルニア
2. ニュー・キッド・イン・タウン
3. 駆け足の人生
4. 時は流れて
5. 時は流れて(リプライズ)
6. 暗黙の日々
7. お前を夢みて
8. 素晴らしい愛をもう一度
9. ラスト・リゾート

1. Hotel California
2. New Kid in Town
3. Life in the Fast Lane
4. Wasted Time
5. Wasted Time (Reprise)
6. Victim of Love
7. Pretty Maids All in a Row
8. Try and Love Again
9. Last Resort

人生の最後に聴くアルバム 

 イーグルスの代表作であり、ロック史に残る金字塔。1000万枚以上のセールスを記録したベストセラーアルバムなので、今更、説明の必要も無いと思います。ギタリストに元ジェイムズ・ギャングのジョー・ウォルシュを加え、デビューアルバム『イーグルス・ファースト』から、前作『呪われた夜』までのカントリー色の強い音楽性から、カントリーソングにこだわらず、ロック色を前面に出したサウンドで、駄作が1曲も無い、名盤のお手本とも言える名盤です。個人的には、死期がせまり、後1時間しか生きられないと分ったら、最後に、このアルバムを聴いてから三途の川を渡りたいと思っています。

ホテル・カリフォルニア知らないの?

 私が中学生の頃に、このアルバムが大ヒット、普段は歌謡曲しか聴かないような友人に、こう尋ねられて、ビックリしたことがあります。洋楽に興味の無い人でも『ホテル・カリフォルニア』だけは知っている、そんな絶対的な人気のあるアルバムでした。今となっては、クラッシックロックですが、誰にでも薦められる、名盤の中の名盤です。このアルバムからジョー・ウォルシュが参加。今までのイーグルスに致命的に欠けていた、ハードロック的なギターのリフが導入されました。『駆け足の人生』『暗黙の日々』などのヘヴィな曲は、ジョー・ウォルシュ無しでは、絶対に作れない曲で、ドン・フェルダーにとっても、強い刺激になったらしく、前作『呪われた夜』以上に、骨太でソリッドなギタープレイになっています。特にアルバムのタイトルにもなっている『ホテル・カリフォルニア』でのギターソロは、ロックの古典的なギター・ソロとなり、多くのギタリストにコピーされています。また、ちょっと意外なところでは、『ホテル・カリフォルニア』のアレンジは、当時ボブ・マーリーの登場で世界的なブームとなっていた、レゲエビートがベースになっています。ギターのバッキングアレンジなどは、そのままレゲエ風ですが、ドン・ヘンリーのドラムが極めて白人的で淡白なビートの為、レゲエの曲という印象はほとんどありません。

 レゲエ、ハードロック的なサウンドの導入など意欲的なサウンドメイキングですが、歌詞の内容も、イーグルスのこれまでの作品の中で最も優れたものが多く、ドン・ヘンリーの詩は、すでにボブ・ディランと同じレベルにまで来ています。雲の上から人類を見下ろして、皮肉交じりに人間を観察するようなシニカルな内容が多いですが、多くの人の人生に影響を与えるほど深遠な歌詞が多く、アルバムの歌詞を詩集として発売しても価値のある内容です。

 このアルバムを最後にベースのランディ・マイズナーが脱退してしまいますが、『ホテル・カリフォルニア』での独創的なベースのパターンには、驚かされますし、暗い内容の曲が多い中で、明るく前向な気持ちにさせてくれる唯一の曲『素晴らしい愛をもう一度』のヴォーカルなどは、イーグルスでの最後飾るにふさわしい活躍で、ランディ・マイズナーの類稀な才能を十分に楽しむ事ができます。個人的には、ランディ・マイズナーのベース、曲のアイディアが大好きなので、このメンバーで、もう一枚アルバムを作って欲しかった、というのが、正直なところです。

 

 

■ お前を夢みて ■

高校の頃にやっていたバンドのメンバー3人で、このアルバムで一番好きな曲は?という話になり、一人は、『素晴らしい愛をもう一度』、もう一人は『ラスト・リゾート』を選び、私は、この曲を選びました。今でも、この曲が大好きで、イーグルスの再結成ライブ『』で演奏されたときは、狂喜しました。歌詞の内容の一部は以下の通りです。

やあ、久しぶりだね、元気だったかい?
ずいぶん遠くまで来たんだね

英雄たちは、やって来ては去ってゆく
俺たちを後に残して…
いったい、なぜ、過去に心をのこしてしまうんだろう
なぜ、そんなにも早く大人にならなくちゃならないんだろう
なぜ・・・なぜ・・・?

この歌詞には、本当に大きな影響を受けました。人間の悪意に翻弄されたり、裏切られたりして人間不信に陥ると、この曲を聴き、精神状態をリセットするようにしています。特に、次の一節のメロディを聴くと、誰かに憎しみや、恨みがあっても赦す気持ちになれるから不思議です。

友より愛を込めてと書き添えて、誰か君に、バラの花を一輪贈るといいのに・・・


1969年以来、スピリットは置いていない・・・

 ホテル・カリフォルニアの歌詞の有名な一節ですが、この歌詞の主人公が、酒を注文すると、このフレーズが帰ってきます。スピリットというお酒とスピリット(精神)を言葉でかけています。この解釈については、様々ありますが、私個人の解釈としては、1960年代、反戦運動や、学生運動など、世の中を改善しようという大きなムーブメントが起きましたが、1970年代に入ってから、そういった一連の運動は、敗色濃厚となり、一気に衰退してしまいます。こういう精神性が失われてしまったことを歌っていると思います。これは、『ロング・ラン』に収録されている『サッド・カフェ』の歌詞の一部に『僕らは、愛とか自由という言葉で世の中を変えられると信じていた・・・』という歌詞などからも、推察できます。

好きなときにチェックアウトはできるが、決してここから離れられない・・・

 体制に反発しても、結局、この体制が作り出している食べ物を食べて生きていかなければならない、結局生きている限り、この体制の中で生活しなければならない、という絶望的な現実によって、この曲は幕を閉じます。考えてみれば、食べ物だけでなく、服、住居なども、全て体制が作り出したものを利用して生きているのですから、住む国は違っても、それぞれの国の体制の中で生活し、そこから逃げる事は出来ないのかもしれません。反体制派としては、この歌詞は、敗北感を強く感じさせる絶望的なものかもしれません。完全に文明から切り離された場所で、自給自足し、既製品に一切頼らないで暮らすか、黄泉の国とかなら別かもしれませんが・・・。

 このアルバムは、アナログLP、CD、リマスターCDなどの他に、DVDオーディオが発売されていました。残念ながら、DVDオーディオは、現在製造終了の為、廃盤で入手困難ですが、音質的には、DVDオーディオが飛びぬけていました。レコードで発売された当時に省略されたギターパート、キーボードなどが追加され音が厚くなっているので、レコード、CDでは聴けないホテル・カリフォルニアと楽しむ事ができます。特に5chマルチチャンネルで聴く『ラスト・リゾート』は、天使の歌声のようなコーラスが天から降り注いでくるような浮世離れしたサウンド、空間で、名作アニメ『フランダースの犬』のクライマックスシーンで、天使がネロとパトラッシュを迎えに来るシーンを思い出すほど美しい音場空間です。中古品でのみ入手可能ですが、価格が高騰している為、2万円前後の相場になっているようです。2万円払っても安いと思いますが・・・。

◆ ドン・ヘンリー

◆ グレン・フライ

◆ ランディ・マイズナー

◆ バーニー・リードン

◆ ドン・フェルダー

◆ ジョー・ウォルシュ

◆ ティモシー・シュミット

◆ 映像作品

◆ サウンド・使用楽器

◆ ファッション

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