アートロックへの進化

　１９６７年発売のジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのセカンドアルバム。衝撃的なデビューアルバムで一躍スターの仲間入りを果たした後のアルバムなので、前作よりも時間をかけてじっくりとレコーディングされたのか、荒々しさのあるファーストアルバムより余裕の感じられる名盤に仕上がっています。ロックスタンダードして、数多くのアーティストにカヴァーされている名曲中の名曲『リトルウイング』が収録されています。

　ロック史に残る衝撃的なデビューアルバム『アー・ユー・エクスペリエンスト?』と、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスとして最後の名盤『エレクトリック･レディ･ランド』の間に挟まれたアルバムなので、知名度がイマイチかもしれませんが、このアルバムもロック史に残る名盤です。特にギタリストの方なら、このアルバムに収録されている名曲のギターアレンジは、かなり参考になるというかショックを受けるかもしれません。多くのジミヘンフリークがジミのギタープレイ、ギターアレンジを真似してロックの名曲を数多く創り出して今のロックの形が出来上がっているわけですが、そのロックギターの原点が、このアルバム凝縮されていると思います。１曲目の『EXP』だけは、ステレオ録音のメリットを最大限に生かそうとした実験的な効果音が録音されているので楽曲としての魅力はありませんが、２曲目『アップ・フロム・ザ・スカイズ』のワウを使用した独創的なギターバッキングで驚かされ、３曲目『ウェイト・アンティル・トゥモロウ』ではシンプルなユニゾンプレイにも関わらず、意表をつくコード進行で、これにも驚かされます。４曲目意向の曲でもジミヘンのミュージシャンとしてのセンスの良さ、ギタリストとしてのアイディアの豊かさに、ただただ圧倒されっぱなしでアルバムを聴き終える事になります。ノエル・レディングがリードヴォーカルを担当する１０曲目の『シーズ・ソー・ファイン』だけは異質な感じがしますが、ギタリストには絶対にオススメの名盤です。

　私はドラムが本職なのでギターは遊びで弾く程度ですが、自分でギターを弾くようになってから、ギタリストのほとんどがジミヘンの影響を受けるのが理解できるようになりました。本作でのジミヘンの独創的なギターアレンジには本当に衝撃を受けました。ポップでメロディアスなアルペジオ、適材適所でエフェクタを使用したバッキングアレンジ、トリッキーで意外性のあるフレーズなどなど、本当にギターアレンジのアイディアの宝庫といったアルバムだと思います。相変わらずミッチ・ミッチェルのドラムは軽いですが、まぁ、その辺りだけガマンすれば、文句無しの名盤でしょう。

 

　

 

 

■　リトル・ウイング　■

　エリック･クラプトンやコアーズなどにもカヴァーされた名曲。様々なアーティストによってカヴァーされているので、かなりのバージョンがあるわけですが、本作に収録されたオリジナルのギターアレンジが近年になってギタリストの間で再評価され、スティーヴ・ヴァイなどプロのミュージシャンから、アマチュアギタリストまで、オリジナルギターアレンジのカヴァーが増えいています。

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映画『スクール・オブ・ロック』でも！

　　子供たちがバンド活動をする姿を描いた大ヒット映画『スクール・オブ・ロック』の中でも、このアルバムがギタリストにオススメのアルバムとして紹介されています。そうそう、分かる人には分かるんですね。

 

 

 

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