ニューヨークの感性を伝える詩人
カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。生後すぐに母親がニューヨークに移住した為、ほとんどニューヨーカーと言えるかもしれません。10代前半で作詞、作曲をはじめ、大学在学中に、アーティストの町グリニッチ・ヴィレッジで、ライブ活動を行い、1985年にデビューアルバム『街角の詩』を発表。セカンドアルバム『孤独(ひとり)』からのシングルカット『ルカ』が世界中で大ヒット、詩人としてミュージシャンとして一躍注目を浴びました。
デビュー当時は、アコースティックギターでの弾き語りに、ニューヨークらしい洗練されたバンドアレンジで曲を構成していましたが、アルバムを発表するごとに、ヒップホップ系の強烈なビートやインダスリアル系のパーカッション、エフェクトを加えたサウンドへと変化していきました。最近のアルバムではアコースティックへ回帰していますが、単なるフォークシンガーでは終わらない深い才能を感じさせてくれます。ニューヨークという都市を背景にした、冷ややかなほど研ぎ澄まされたサウンドセンス、冷淡なほど客観的な視点から描かれる歌詞、彼女の作品の多くに感じられる残酷なリアリティは、アメリカン・ニュー・シネマの作品の魅力に近い雰囲気が感じられます。
恋愛なんて大した事じゃない
端正な顔だち、ニューヨーカーらしい洗練されたファッションセンス、人並みはずれた洞察力と表現力。アーティストなら誰でも憧れるような才能に恵まれている彼女ですが、天才がゆえの孤独な面も強く感じられます。来日公演の際、インタビューで、こんな風に話していました。『以前は、アーティストとして成功するという目的があったから、恋愛なんて大した事じゃない、と思っていたの。』、そんな彼女も、結婚、出産と、女性として人生を積み重ねていくうちに、音楽的にも大きく成長し、単なるフォークシンガーという枠では収まりきらない、幅広い音楽ジャンルで、創作活動を続けています。