大人の女、大人の色気

　１９９７年発表、前作『微熱』で音楽的に大胆な変身を遂げたスザンヌ・ヴェガですが、この作品では、さらにフォーク系の音楽的な手法から脱却し、インダストリアル系のサウンドで構成されています。『キャラメル』『ノー･チープ･スリル』『ロリータ』などを収録。

　プロデューサーは前作『微熱』と同様にミッチェル･フレームが担当、レコーディングに１年以上を費やし、アレンジ、サウンドを練りに練って仕上げた完成度の高いアルバムですが、デビュー当時のネオアコースティックのイメージは全く無くなり、本作までの５枚のアルバムの中で、セールス的にはワースト記録を作ってしまいました。サウンドの変化は前作『微熱』からですが、本作では、アコースティック系のサウンドがほとんど無くなり、アコースティック系アーティストとしてのアルバムを期待するとガッカリさせられます。しかし、１年以上もレコーディングに時間をかけただけあって、スザンヌ･ヴェガの成熟した大人の感性を、ミッチェル･フレームらしいアレンジで優れた芸術作品として仕上げてあるので、スザンヌ･ヴェガ＝アコースティック系アーティストという先入観を持たずに聴けば、素晴らしい作品だと思います。ただし、アコースティックサウンドを期待する人はパスした方がいいでしょう。

　残念ならが、このアルバムはコケてしまいました。かなり芸術性の高いアルバムですし、このアルバムからのシングルカット曲のＰＶも、以前よりしっかりとしたコンセプトで製作されていましたが、アコースティック系のサウンドを期待したファンからは酷評されました。アダルトな雰囲気の曲を映画のタイアップなどで宣伝しましたが、マドンナのようなセックスアピールを売りにするアーティストではないので、ＰＶも実質的に失敗で、セールス的には三山だったようです。ミッチェル･フレームのプロデュースは、かなり個性的なので、このクセのあるサウンドが好きか嫌いかで、このアルバムの評価は二分されてしまいます。ミュージシャンやレコーディングエンジニアを目指している人で、プロデュースに興味のある人、アレンジの幅を広げたいミュージシャンにはオススメできるんですが・・・。

　  　

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■　キャラメル　■

都会的で、官能的なイメージの強い作品で、このアルバムを象徴しているような名曲です。ジュード･ロウ、ジュリア･ロバーツ、ナタリー･ポートマンなどが出演している映画『クローサー』にも使用されています。

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　こういうコケた商品は、とにかく安い。アマゾンの出品者から購入すれば１円から購入可能です。送料が３４０円かかるので、実質的には３４１円ですが、中古ＣＤショップなどで買うよりもお買い得ですね。