ウォルター･ベッカーが可愛そう・・・

　スティーリー･ダンが実質的に解散状態になってしまい、ドナルド･フェイゲンがソロアーティストとして、はじめて発表したアルバムは、またしてもプロのミュージシャンや、レコーディングエンジニアに衝撃を与えました。スティーリー･ダンのアルバム『ガウチョ』が、これ以上音質のいいレコーディングは不可能と言えるほど高音質だったので、それ以上の音質でレコーディングされた『ナイトフライ』は、レコーディングのプロでさえ、ショックを受けるアルバムでした。

　このアルバムは、グラミー賞の最優秀アルバム賞にノミネートされました。ＴＯＴＯの名盤『ＴＯＴＯ�W』がグラミー賞を受賞し、惜しくも受賞できませんでしたが、ＴＯＴＯのギタリスト、スティーブ･ルカサーは『絶対にナイトフライが受賞すると思っていたよ、僕もナイトフライが一番好きなアルバムだからね』と、インタビューで語っていました。『ＴＯＴＯ�W』も名盤ですが、このアルバムも音質、内容共にグラミー賞を受賞してもおかしくない名盤だと思います。

　スティーリー･ダンの音楽性を引き継ぎながらも、様々な音楽ジャンルの要素を取り入れて、ドナルド･フェイゲン流にアレンジしているのはさすがです。ラテン系のビートなども取り入れていますが、どの曲も、これ以上は絶対に無理！というまで研ぎ澄まされた都会的センスで仕上げられているのでアルバムの最初から最後まで、一気に楽しめます。大ヒットした『ニュー･フロンティア』のプロモーションビデオも評価が高く、プロモーションビデオのオリジナリティ、アイディアは絶賛され、何度も何度もＭＴＶなどで放送されていました。余談ですが、以前努めていた会社のグループで、カー用品のお店があったのですが、カーステレオの音の良さをアピールする為に、このアルバムが試聴ように使われていました。ちょっとズルイですが、元々の音質が驚異的に良かったので、安いカーステレオで聴いても、凄く音が良く聴こえるんですよね。

　  　

 

■　Ｉ．Ｇ．Ｙ．　■

　アルバムのオープニングを飾るこの曲を聴いただけで、鳥肌がたってしまうほど感動したファンも多いと思います。スティーリー･ダンのアルバムでもメインに使用されてたキーボードの名器、フェンダーローデスの、やわらかく揺らぎのある音色は、洗練されたサウンドに、どこか憩いを感じさせるような安心感をプラスしてくれています。スティーリー･ダン、ドナルド･フェイゲンの全ての曲の中でも、最高傑作ではないでしょうか。

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ＤＶＤオーディオの代表作！

　オーディオファンには非常に嬉しいことに、ＤＶＤオーディオでも発売されていました。このアルバムはプロのエンジニアがサウンドチェックに使用する定番アルバムとして定着しているほど高音質ですが、その音質の良さを、ＤＶＤオーディオで発売したのですから、このアルバムのＤＶＤオーディオの音質は本当に衝撃的な音の良さです。ＤＴＳ５．１の音声は特に絶品です。映画やアニメで、魔法使いが杖を振ると金粉のようなキレイな粉がキラキラと輝くシーンがありますが、このアルバムのキーボードの音色が、まさにこんな感じです。キラキラと輝きながら左右にゆっくりとこぼれ落ちて行くような音質で、このアルバムでなければ体験できない奇蹟の音質！ＤＶＤオーディオの音質の良さをアピールする為に、視聴イベントが行われた際にも、必ずこのアルバムが使用されていました。オーディオファンにとっても最高のソフトだと思います。

　ＤＴＳ５．１ｃｈと、２ｃｈの音源で収録されていて、ボーナストラックとして、『ニュー･フロンティア』のＰＶも収録されています。残念ながら現在廃盤になってしまい、ＤＶＤオーディオの規格自体がボツになってしまった為、再発売される見込みはありません。中古でのみ購入可能ですが、1万円から2万円と高額になっています。もっとも私の知っている限りでは、今まで発売されたＤＶＤオーディオの中で一番音がいいアルバムなので、2万円でも安いかもしれません。今後も価格に高騰が予想されますし、滅多に見つからないので、運良く見つけたら、絶対に購入した方がいいと思います。

 

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