政治の腐敗を糾弾し、政治の変革を目指すウィリーは、州知事選に立候補するが、実は、対立候補の票を奪う為の当て馬として利用されているだけだった。自分が利用されていると知ったウィリーは、怒りによって変革に対する意欲を高め、大企業による搾取への非難や、貧困に苦しむ人々への公約をかかげた演説を続け、地すべり的な勝利で州知事となる。念願がかなって改革に取り組むウィリーだったが、次第に自らも汚職に手を染めていく…。

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　ピュリツァー賞を受賞したロバート・ペン・ウォーレンの小説を映画化。１９４９年にアカデミー賞３部門を獲得した作品のリメイクですが、『イントゥ・ザ･ワイルド』などで映画監督としてもショーン・ペン、『ロード・トゥ・パーディション』『コールド・マウンテン』などに出演しているジュード・ロウ、『羊たちの沈黙』『レジェンド・オブ・フォール』のアンソニー・ホプキンス、『タイタニック』のケイト・ウィンスレット、『コラテラル』『ゾディアック』などの作品にも出演しているマーク・ラファロなどの出演者、この豪華なキャスティングでの、緊張感のある演技によって、政治の腐敗という重いテーマながらも、エンターテイメント性の高い作品に仕上がっています。

　政治的の腐敗という重いテーマなので、途中で寝てしまうんじゃないかと不安でしたが、ショーン・ペンをはじめ、魅力的なキャストの演技力でどんどん画面に引き込まれてしまいました。サイドストーリーとして描かれているブルジョアジーの恋愛には、それほど感動できるような要素はありませんが、役者の存在感、演技力によって、腐敗した政治家と、潔癖症と言えるほど悪を憎む人間のキャラクターが圧倒的な存在感を持ち、悪徳政治家やブルジョア階級の登場人物にはムカムカしてきます。一度権力を握ってしまった人間は、ほとんどが堕落し、自己保身の為に、いくらでも悪事に手を染めるというのは、どの時代、どの国でも同じだという事を痛感させてくれる映画でした。

労働者の目は汗で曇っている

　重労働を強いられている労働者は、極度の疲労や、飢えによって、自分の境遇の改善を諦めてしまいます、肉体労働だけでなく、精神的な疲労も同じように、物事を客観的に見る目を奪ってしまい、選挙に行くことさえ無意味に感じるようになります。それこそ政治家の思う壺なんですが、疲れきってしまって政治に関心がなくなっている方も多いのではないでしょうか？コレって他人事ではありませんね。

知らなければ、傷つかない

　真理と呼ぶほどいいセリフではありませんが、この言葉は当たりです。妻や夫といったパートナーに浮気された事を知ってしまったり、友人だと思っていた人間に、利用されていただけだと知ったりすると傷つきますが、裏切られても、その事実を知らずに死ねれば、裏切った相手に怒ったり、悪意を持ったりしなくても済みますから・・・。知らなくてもいい事を知る事は、必ず失望や痛みを伴い、復讐、報復によって本人も不幸になってしまいます。世の中には知らない方がいい事の方が多いのかもしれません。

価値が無い！

　ウィリーの演説シーン、投票しない人には価値が無い！と叫ぶウィリーの顔は、対立候補に利用された怒りと、復讐心による悪意に満ちていて迫力があります。価値が無いというのは言い過ぎかもしれませんが、不公平な世の中で、唯一、平等な権利として認められている選挙権を放棄してしまうと、公平なものは全くなくなってしまいます。選挙に行った方がいいですね。

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ショーン・ペン
ジュード・ロウ
アンソニー・ホプキンス
ケイト・ウィンスレット
マーク・ラファロ

 

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