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アバター
 
AVATAR

●監督
ジェームズ・キャメロン

●キャスト
サム・ワーシントン
ゾーイ・サルダナ
ミシェル・ロドリゲス

■ ストーリー ■


 22世紀になり、人類は宇宙の他の惑星にまで、その支配を広げていた。資源が豊富で自然に恵まれた衛星パンドラを見つけた人類は、青い肌の原住民ナヴィの暮らすこの星の鉱物採掘をするために、原住民ナヴィと人間のDNAを組み合わせて、人間がパンドラ星に適応できる人種アバターを生み出そうと計画するのだが・・・。

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■ レビュー ■

 

 2009年アメリカ作品。監督は『アビス』『タイタニック』などの ジェームズ・キャメロン、出演は、 『ターミネーター4』のサム・ワーシントン、『S.W.A.T.』のミシェル・ロドリゲス、『センターステージ』のゾーイ・サルダナ、『エイリアン』のシガニー・ウィーヴァーなど。人類が宇宙に進出した未来を描いたSF作品。

 アカデミー賞の最有力候補と言われた娯楽超大作。惜しくもアカデミー賞作品賞受賞はなりませんでしたが、 ジェームズ・キャメロン監督らしい娯楽性と感動を楽しめる超大作になっています。人類が宇宙に支配を広めている未来を舞台に、人間の飽くなき支配欲と利益至上主義に警鐘を鳴らすメインテーマに、恋愛、アクション、特撮による未知の惑星の美しい風景を楽しめ、あらゆる面で極上のエンターテイメント作品になっています。科学技術が進歩し傲慢になっている人間よりも、根源的な知識を持つ原住民ナヴィの生き方は、、目の覚めるような感動を与えてくれますし、原住民ナヴィの価値観は、現代の人間社会に最も必要なのかもしれないと考えさせられます。映像的には、最新の撮影技術を屈指したリアルで迫力ある映像がたっぷり楽しめますし、豊かなイマジネーションによって描かれた未知の惑星の自然の美しさにはため息がでてしまいます。重厚なテーマもエンターテイメント性も抜群の作品ですが、唯一気になったのは、霊的に進化しているはずのナヴィ族が、ジェイクに対して嫌悪感を示すシーン。テレンス・マリック監督がアメリカ先住民を描いた『ニューワールド』のように、敵意や嫉妬などの悪感情を持たない民族として描かれていた方が、ナヴィ族の魅力に説得力があった様な気がします。その点を除けば、ほとんど100点満点の傑作でしょう。

 この作品の重要なテーマである人類の横暴な侵略について、 ジェームズ・キャメロン監督が、一部の映画評論家から、体制批判では?と非難されたそうです。どこからそんなマヌケな批判が出てくるのか理解できませんが、そんな批判をするような知能の低い評論家は、もう一度歴史の勉強をしなおしたほうがいいでしょうね。仮に体制批判だとしても、批判されるような体制に問題があるわけで、ジェームズ・キャメロン監督が批判される必要はありません。ジェームズ・キャメロン監督も心外だと思います。

教えようとしても、頭がいっぱいで、何も入らない

 科学が万能だと考えている人類は、ナヴィの知恵を学ぼうとしません。人類は、科学が絶対と信仰するようになってから多くの事を失ってしまったのかもしれません。せっかく有益な知識、叡智を学べる機会があっても、先入観念で頭がいっぱいだと、新しい知識を得る事ができなくなってしまうんですよね。

人間は、いつも同じ。目的のジャマになる奴は敵と見なし、力ずくで奪う

 過去の人間の歴史を振り返れば分る事ですが、武力的に優位な人種が弱い民族を迫害、侵略して今の世の中が形成されてきました。国家の権力や利益の為に滅ぼされた文明や文化がいかに多いか、今さらながら、そんな事を思い出させてくれます。そして、今でも同じような事が繰り返されています。

夢は終わり、いつか目覚める

 この作品の中で、一番悲しいセリフかもしれません。理想的な世界を夢見ていても、いつか夢から目覚めて地獄のような現実に引き戻されてしまうんですよね。


 

名シーン

エイワがそばに、本当に存在している

 瀕死の重傷を負ったグレースを救おうとするシーン。ナヴィ族すべてが一つにつながり、光の帯がグレースにつながります。すべてが繋がるネットワークを持っているナヴィ族の神秘を映像化したシーンですが、カール・ユングが唱えるように、地球の人間や生き物のすべても、目に見えないネットワークで潜在意識下ではつながっているのかもしれない。そんな事を実感させてくれる名場面です。

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ガイド

ロジャー・ディーンのデザインかも?

 目が点になってしまうほど美しい風景として描かれている空中に浮かぶ島の風景。この映像は、イギリスのロックバンド、イエスのアルバムジャケットのデザインを手がけていたロジャー・ディーンのデザインに酷似しています。特にイエスのライブアルバム『イエス・ソングス』のアートワークに似た風景が多く、少なからず影響を受けているのかもしれません。興味のある方は、LPか紙ジャケットの『イエス・ソングス』を購入してはいかがでしょうか?ジャケットのアートワークだけでも素晴らしい作品です。



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