１６０７年、イギリスを出航した船が北米大陸ヴァージニアに到着する。しかしそこにはすでに、ネイティヴ・アメリカンの人々が暮らしていた。その船には反乱罪で拘留状態のジョン・スミス大尉も乗っていた。船長はスミス大尉を処刑するかわりに、彼に現地の探索と現地住民の交渉を命じる。しかしスミス大尉は原住民の戦士たちに捕まり、原住民の王は処刑を命じる。殺されかけた彼を、王の娘ポカホンタスが救い、２人は恋に落ちて幸せなときを過ごすが、スミス大尉は仲間の為に砦に戻らなければならなかった・・・

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　２００５年アメリカ作品。監督は、『天国の日々』『シン･レッド･ライン』などのテレンス・マリック、主演は、『リクルート』『ＳＷＡＴ』などのコリン・ファレル、『バットマン･ビギンズ』『ダークナイト』のクリスチャン･ベイルなど。アメリカに入植したイギリス人と、アメリカ原住民との恋愛を描いた感動作。映像美、繊細な人間描写、哲学的なインスピレーションを楽しめる傑作です。

精霊よ、

　映画のオープニングのセリフです。こういう言葉で始まる映画なので、無神論者の方や、精神世界に興味のない方には、凄く退屈な映画になってしまうと思います。ゆったりと流れる時間、自然の全てに霊性と畏怖を感じ、ユートピアに近い世界で生きている住民がクローズアップされている映画なので、興味のない方は見ないほうがいいと思います。たぶん眠ってしまいます。

　テレンス・マリック監督の、ＣＧを使わずにリアリティを出す手法はこの映画でも健在で、本物自然、人間の持つ美しさ、エネルギーを生々しく感じられます。映像美の美しさも相変わらず素晴らしく、彼の洞察力、審美眼にはため息が出ます。そして何より作品のテーマにも感心させられます。テレンス・マリック監督がアメリカ大陸への入植者をテーマに映画を撮ると聞いたとき、まず思い浮かんだのがローランド・ジョフィ監督の『ミッション』でした。この作品の舞台は南米ですが、白人が未開の地に入植するというテーマは同じで、文明の侵略行為を批判するような映画じゃないかという予想をしていました。しかし、そういうレベルの映画ではなく、改めてテレンス・マリック監督の哲学感に感心してしまいました。他人の土地にいきなりやってきて、「今日からこの土地は俺たちのものだ、お前たちは出て行け」、こんな横暴で野蛮な入植者たちの蛮行も描かれていますが、入植者の横暴な態度が主題になっているわけではありません。

なぜこの世界には色があるの？

　ポカホンタスに教育を与えるイギリス人が、こんな質問を受けて困ってしまいます。何でも知っているかのように話す先進国の人でも、意外に単純な疑問には答えられません。人間にとって本当に大事な事や、物事の本質について、文明人は驚くほど無知なのかもしれません。逆に、純粋で神聖なものを知識によって失ってしまっているのかもしれません。

優しく愛情に溢あふれ誠実だ、悪意も策略も知らない、

　ネイティブアメリカンとの生活の中でスミス大尉が彼らに感じたことを表現しています。合理主義の中でいきている文明人、現代人にとっては、まるでユートピア、私たちが失ってしまった最も重要なものを彼らは失っていませんでした。テレンス・マリック監督は、文明や現代人を批判するというよりは、美しい映像詩の中でつぶやくように私たちに伝えてくれます。感受性の豊かな方なら、映画を観終わった後に、魂を開放されたような充実感に満たされると思います。

　前作『シン･レッド･ライン』までのＤＶＤには、特典映像などは一切収められていませんでしたが、この映画のＤＶＤには撮影の様子などを収録した映像特典が納められています。テレンス・マリック監督のリアルな映像に対するこだわり、撮影のエピソードや、ネイティブアメリカンの描写をいかに忠実に再現したかなど、興味深い映像を楽しむ事ができます。

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テレンス･マリック

コリン･ファレル

 

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