南アフリカ共和国で初の黒人大統領となったネルソン･マンデラは、自分が大統領になった後も根強く残る人種間の壁に悩んでいた。そんな時、ラグビーのナショナルチームが不振にあえいでいる事を知り、国民に希望を与えるためにラグビーチームへの強化支援を決断する。しかし、白人選手がほとんどのチームに対して国民や、官僚からは不満の声がもれてくる・・・。

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　２００９年アメリカ作品。監督は『スペース･カウボーイ』『ヒア･アフター』のクリント･イーストウッド、出演は、 『ボーン･アイデンティティ』『グッド･ウィル･ハンティング』のマット･デイモン、『セブン』『ディープ･インパクト』のモーガン･フリーマンなど。南アフリカ共和国の大統領ネルソン･マンデラが、ラグビーのナショナルチームを支援によって国民に希望を与えた実話を元にしたスポーツ映画。

　スポーツ映画としても、ネルソン･マンデラという人物を知る実話としても優れた作品です。まず、ネルソン･マンデラという人物の政治家として、人間としての魅力に感動します。そして、ラグビーのナショナルチームが奮起し、弱体化していたチームが、マンデラ氏や国民の応援で立ち直っていく姿も感動的です。ネルソン･マンデラという政治家に興味のある方は、彼の政治理念、政治手腕、人間としての魅力に触れる事ができるという意味で価値がありますし、政治に興味の無い方でもスポーツ映画として十分に楽しめます。ただし、マンデラ氏が大統領就任後の物語が描かれているので、昔の南アフリカ共和国が、黒人にとってどれほど酷い環境だったかという状況は描かれていません。なぜ黒人の国民が白人たちに対して強い憎しみを抱くのかという説明はなされていないので、マンデラ氏が投獄されていた時代についても知りたい方は、『マンデラの名もなき看守』を観た方がいいでしょう。

　私はマンデラさんを誤解していました。アパルトヘイトによって２７年間も政治犯として投獄されていたマンデラ氏は、カリスマ性はあってもガンジーとは違って、武力による改革もやむを得ないと考えている普通の政治家だと思っていました。ところが、この作品では、激務をこなしながら自らの給料を慈善に寄付するだけでなく、自分を迫害してきた白人に対しても寛大で、人間的にも素晴らしい人でした。何よりも泣けたのは、白人に対しての寛大な対応が元で、家族と疎遠になって苦しんでいるマンデラ氏の姿でした。２７年間も刑務所暮らしを強いられ、身内まで殺されていれば白人を恨むのも当然です。ですから、マンデラ氏の妻や娘さんが白人を赦せないのも当然かもしれません。しかし、マンデラ氏は、家族との間に壁ができても白人を赦し、共に新しい国家を作り上げていこうとしています。本当に驚かされました。マンデラさんゴメンナサイ。誤解していました。こんな政治家がわが国にも欲しいです。

赦しが第１歩だ。赦しが魂を自由にする

　誰かを憎んだり恨んだりしていると、その悪意に縛られてしまいます。人を赦す事によって自分も解放される。自由になれるという事を知っていれば、寛大な気持ちになれるのかもしれません。

危険を恐れるなら指導者の資格は無い

　自分の事よりも自分の部下や、国民の事を考えるような人だからこそ指導者として人望があるんでしょうね。本来は、自分の利益や保身ばかり考えているような人は指導者の資格は無いわけです。という事は、わが国の政治家には、指導者の資格のある人がほとんど居ないわけですね。

私自身が変われないなら、人々に変化を求められません。

　マンデラ氏は、自ら白人を赦す事によって国民に手本を示したんでしょうね。自分でできない事を他人に要求しても説得力がありません。自ら手本を示すあたりも、最高の指導者だと思います。

 

過去は過去、我々は未来をめざす

　ラグビーの試合が一番の見所ですが、あえて人間として、政治家としてのマンデラ氏の寛大さが分かるシーン。自分が大統領になっても白人スタッフをクビにしない、この国の未来の為に協力していこうとスピーチする場面は、感動的です。

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